効果的な社員教育とは?企業成長に直結する教育方法を紹介

社員教育の目的と効果的な方法、企業成長に直結するポイントを紹介

社員一人ひとりの意欲を引き出し、企業にさまざまな効果をもたらす社員教育。目的や具体的な手法のほか、自社に合った教育方法の見つけ方を解説します。

目次[非表示]

  1. 1.効果的な社員教育とは?企業成長に直結する教育方法を紹介
  2. 2.社員教育の4つの目的
    1. 2.1.企業として、社外からの信頼を得る
    2. 2.2.生産性を向上させる
    3. 2.3.企業理念を浸透させる
    4. 2.4.社員のモチベーションを向上させる
  3. 3.社員教育の手法
    1. 3.1.OJTの特徴
      1. 3.1.1.<OJTのメリット>
      2. 3.1.2.<OJTの注意点>
    2. 3.2.OFF-JTの特徴
      1. 3.2.1.<OFF-JTのメリット>
      2. 3.2.2.<OFF-JTの注意点>
  4. 4.自社に合った社員教育を行うためのプロセス
    1. 4.1.1. 現状を整理する
    2. 4.2.2. 社員教育の目的を明確にする
    3. 4.3.3. どのタイミングで行うかを決める
    4. 4.4.4. 教育手法を決め、効果測定も行う
  5. 5.社員教育を成功させる3つのポイント
    1. 5.1.必ずフォローアップを行う
    2. 5.2.参加した社員の意見を聞く
    3. 5.3.社員の成長を喜ぶ風土を作る
  6. 6.社員がいきいきと働くための社員教育を実現しよう

効果的な社員教育とは?企業成長に直結する教育方法を紹介

「人材こそ最大の財産」と掲げる企業も多いことからわかるとおり、人材なくして企業は成り立ちません。企業が長期的・持続的に収益を上げ、社会に求め続けられる存在であるためには、単純な労働力としてではなく、企業の成長力の源泉として社員を育て、一人ひとりのモチベーションを維持することが重要です。

ここでは、社員一人ひとりの意欲を引き出し、企業にさまざまな効果をもたらす社員教育について、目的や具体的な手法のほか、自社に合った教育方法の見つけ方を解説します。

社員教育の4つの目的

社員教育には、大きく4つの目的があります。まずは、それぞれの目的について詳しく見ていきましょう。

企業として、社外からの信頼を得る

社員教育の内容は、対象とする社員の階層によって性質が異なります。一般的には、内定者・新入社員ならビジネスマナーや業務の基礎知識、若手から中堅にはリーダーシップやマネジメントといった次のキャリアステップのための基礎知識、役職者に対しては経営の視点など、対象者のキャリアの現在地に合った学びが提供されることが多いです。

どの段階における社員教育でも、企業としてのルール、社会人としてのルールを踏まえて行動することが求められるため、社員は研修を通じて知識だけではなく、規範意識も身につけます。その規範意識によって、社外の人と接する際の、社員の対応にも変化が起こります。

規範意識のある社員は、最低限の常識をわきまえた対応をすることはもちろん、相手の立場に立った真摯な行動ができるようになり、広く信頼を得ることができるでしょう。こうした社員が増えれば、企業全体に対する信頼の向上にもつながります。

生産性を向上させる

業務に必要な知識やノウハウ、技術を伝えるのも、社員教育の重要な役割です。社員の知識とスキルが増えれば、できることの幅が広がり、一つひとつの業務の効率化も図ることができます。

しかし、個人のスキルアップに依存した個別の研修では、能力に個人差が生まれ、企業全体の成長はいずれ頭打ちになるでしょう。業務の流れを可視化し、体系化された社員教育で組織全体の技術力向上、知識向上を目指すことが重要です。

企業理念を浸透させる

企業の方向性のほか、目指すべき姿を表す企業理念やミッションは、企業がぶれない活動を展開する上で欠かせない指標です。しかし、企業理念やミッションが形骸化しており、社員がその重要性を理解していないと、価値はあまりないといえます。

こうした場合に、「なぜ、このミッションを掲げているのか」「ビジョンにはどんな意味があるのか」といった社員教育を行うと、企業理念の浸透を図ることが可能です。企業理念の意味と価値を知った社員は、自社に対するロイヤルティを高め、企業の将来を自分事として捉えて行動できるようになります。

社員のモチベーションを向上させる

社員教育の種類やタイミングを問わず、何かを学び、それによって「成長している」と実感した社員は、モチベーションの向上が期待できます。業務に直結する技術やノウハウを身につければ、現場で実践することが楽しみにもなるでしょう。例えば、悩みの種であったチームマネジメントのヒントを得た社員は、すぐにチームに戻り、新しいコミュニケーションを試してみたいと思うはずです。

社員教育には、社員に目標を与えて、いきいきと働ける環境が生まれることが期待できるのです。

社員教育の手法

社員教育の手法は、大きく「OJT」と「OFF-JT」の2つに分けることができます。それぞれの手法にはメリットがあるため、社員の状況やレベル、与えたい効果によって適切な方法を選んだり、組み合わせたりすることが重要です。

ここでは、OJTとOFF-JT、それぞれの特徴やメリット、注意点について見ていきましょう。

OJTの特徴

OJTは、On The Job Trainingの略で、日常業務の中で行われるトレーニングです。新卒社員や異業種・異職種から転職してきた未経験の社員をはじめ、新しい業務を学ぶ際などに行われます。

<OJTのメリット>

  • 現場で使う力が身につく
    OJTの最大のメリットは、現場で使う力が身につくことです。習ったことをいつ、どこで使うかが明確で、すぐに役立てられるため、教育を受ける社員は成長を実感しやすいでしょう。現場で「やってみせる」「やらせてみる」といった行動を通して学ぶ方法なので、原則として実演が可能かつ、繰り返し指導できる指導内容がOJTに向いています。

<OJTの注意点>

  • 体系的な教育ができない
    指導する人のポジションによっては、対象となる業務を体系的に捉えられていない場合があります。すると、目の前の業務を効率的にこなすスキルは上がっても、関連する業務のことまでは考えられない視野狭窄に陥る可能性があるでしょう。
    OJTを行う前には、社員が事業全体を理解した上で各セクションの業務の意味を考えられるよう、総合的な教育を人事主導で行うことが大切です。
  • 教える側のスキルセットによって教育内容にばらつきが出る
    OJTでは、教育を担当する社員の能力やスキルが、そのまま研修の質に反映されます。そのため、誰に教わるかによって、教育を受ける側の習熟度にもばらつきが生まれます。
    企業は教育を担当する社員に対して、教える内容や教え方の統一を図る研修を行う必要があります。
  • 指導社員の負担が大きい
    OJTで教育を担当する社員は、日常業務と並行して指導を行います。そのため、自身の業務が多忙な時期と重なると、負担が大きくなるでしょう。本来の業務と教育、いずれかがおろそかになり、業務の質が落ちることも考えられます。
    OJTの実施時期や担当者については現場の状況を踏まえて決定することや、フレキシブルに担当者を変更できる体制を作っておくことをおすすめします。

OFF-JTの特徴

OFF‐JTは、Off The Job Trainingの略で、実際に業務を行う現場から離れて行うトレーニングを指します。OJTのように実演を伴わないため、経験を必要としない知識やスキル、ノウハウなどの習得に向いています。

<OFF-JTのメリット>

  • 多人数に対して、体系的に指導ができる
    OFF-JTがOJTと大きく異なる点は、一度に多人数に対して実施でき、かつ体系的に集中的な指導ができることです。OFF‐JTでの指導は、社外の専門家に依頼することが多いので、教育担当の社員が必要なく、社員の負担を軽減しながら効率的に学びの場を与えられます。
    また、OFF-JTは、eラーニングやグループ研修などで行われることが多く、個人のモチベーションに合わせて自由に学べたり、社員同士の交流の場としても活用できたりするメリットがあります。

<OFF-JTの注意点>

  • すぐさま現場の成果にはつながらない傾向がある
    OFF-JTは、OJTと違って知識やマナー、思考法など、すぐに現場での成果につながらない内容を指導することも多いため、教育したことをどれだけ吸収できているか、すぐには評価しにくいことがあります。何をもって成果とするか、事前に何らかの指標を定め、定期的にチェックするようにしましょう。

自社に合った社員教育を行うためのプロセス

続いては、社員教育の内容を考える際のプロセスについてご紹介します。時系列で紹介しますので、順番に見ていきましょう。

1. 現状を整理する

まずは、現時点で行われている社内の研修や教育プログラムの情報を集めましょう。それらの中から内容が重複するものや、ほかの研修とまとめられそうなものを洗い出し、現状を整理します。

2. 社員教育の目的を明確にする

次に、社員教育を行う目的を明確にします。上記で紹介した「社員教育の4つの目的」を参考に、何のために研修を行うのかを決めていきましょう。

目的が曖昧なまま進めると、教育効果が測定しにくい上に、教育を受ける社員も「実務の時間を削られる」「なぜやっているのかわからない」など、気持ちが後ろ向きになることもあるので注意が必要です。

3. どのタイミングで行うかを決める

社員教育の目的が定まったら、どのタイミングで教育を行うか、適切な時期を決定します。例えば、ビジネスマナーの習得や倫理観の醸成が目的なら、入社から時間を置かずに行うほうが望ましいでしょう。マネジメントスキルの教育などは、社員がスキルアップを希望したときや、役職が上がるときなどに行うと効果的です。

4. 教育手法を決め、効果測定も行う

社員教育の目的を達成するために、OJTとOFF‐JTのうち、どちらの教育方法が望ましいかを検討し、決定します。そして、実施した社員教育の効果を測定し、必要に応じて内容の改善を図っていきます。

社員教育を成功させる3つのポイント

社員教育を成功させるには、下記で紹介する3つのポイントを意識することが重要です。それぞれどのようなポイントなのか、詳しく見ていきましょう。

必ずフォローアップを行う

「エビングハウスの忘却曲線」と呼ばれる実験結果によれば、人は学習した内容の77%を1週間後には忘れてしまうといわれています。ですから、復習による定着を促さなければ、どんなに社内教育に力を入れてもあまり意味をなさないことになります。研修後は、必ず定期的に学習内容のフォローアップを行いましょう。

【参照】経営心理学用語集「エビングハウスの忘却曲線」|一般社団法人日本経営心理士協会
https://keiei-shinri.or.jp/word/エビングハウスの忘却曲線/

参加した社員の意見を聞く

社員教育は、ともすれば教育する側の一方的な押しつけになりがちです。教育を受ける社員の立場に立ち、主体的に学びたいと思える研修を実現するために、参加者の意見を聞く機会も作りましょう。

参加者の意見には、現在の社員教育に足りない要素や、新たに設定すべき教育内容のヒントがあふれているはずです。

社員の成長を喜ぶ風土を作る

社員教育は、社員一人ひとりが向上心を持って積極的に業務に取り組むためのきっかけづくりの場でもあります。教育を受けた社員は、学んだことを業務に活かし、成果を得ることで自身の成長を実感します。このとき、周囲が心から成長を喜び、さらなるステップアップに協力する姿勢を示せば、社員はさらに高いモチベーションで仕事に取り組むようになるでしょう。

社員教育の成果を出すには、仲間や後輩の成長を心から喜び、支援する風土を作っておくことが望ましいといえます。

社員がいきいきと働くための社員教育を実現しよう

社員教育は、社員にやりがいを提供することでモチベーションを引き出し、長期的な企業の成長を実現する取り組みです。

導入してすぐには成果が見えなくても、改善を加えながら継続し、より効果的な社員教育の方法を追求していってください。

なお、社員教育には、従業員を他社に「留学」させて、知見を広げてもらう人材育成サービス「企業間留学」を活用する方法もあります。企業間留学についての詳細は下記の記事をご参照ください。

【おすすめ参考記事】

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<監修者>
丁海煌(ちょん・へふぁん)/1988年4月3日生まれ。弁護士/弁護士法人オルビス所属/弁護士登録後、一般民事事件、家事事件、刑事事件等の多種多様な訴訟業務に携わる。2020年からは韓国ソウルの大手ローファームにて、日韓企業間のМ&Aや契約書諮問、人事労務に携わり、2022年2月に日本帰国。現在、韓国での知見を活かし、日本企業の韓国進出や韓国企業の日本進出のリーガルサポートや、企業の人事労務問題などを手掛けている。


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