食生活改善で健康経営 取り組んだ企業の成功事例と8つの項目

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文/合田麻梨恵

健康経営における食生活改善について、企業として取り組むメリットや、効果について気になる方も多いのではないでしょうか。管理栄養士・和食ライフスタイリストの視点で企業事例を取り上げながら、解説します。

健康経営について

健康経営は、従業員の健康管理も経営戦略に組み込み実践する試みです。従業員の健康状態を改善することによって生産性を向上することや、超高齢社会を背景に、介護予防・健康管理をおこなう健康寿命延伸施策として始まりました。実際の取り組みが評価された企業は、「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人認定制度」などに選ばれています。

健康経営による投資効果

健康経営によって企業が得られる可能性がある主な投資効果は3つあります。それは、(1)投資家からの評価アップ、(2)生産性の向上、(3)長期的な医療コストの削減です。例えば(1)は、国連責任投資原則の中に、健康経営がESG投資の一つとして位置付けされました。このことからも健康経営は、世界的に注目されていると考えられます。

健康経営における食生活の8つの項目

健康経営の評価項目の中に、「食生活の改善に向けた取り組み」があり、具体的な対策として以下の8つがあります。(1)(2)(4)(8)は次の事例でご紹介するようなサービスを導入することで、(3)(5)(7)は管理栄養士のサポートを得ることで実現可能です。

(1)健康を考慮した食堂メニュー充実や弁当利用の促進
(2)健康を考慮した飲料提供の取り組み
(3)提供する健康を考慮した食事や飲料にカロリー、栄養素を表示して取り入れる働きかけ
(4)健康を考慮した食事や飲料の現物の支給
(5)継続的な食生活改善や料理教室などの社内外のイベント実施
(6)カロリー記録やアプリ提供などのサポートの実施
(7)定期的・継続的な食生活改善に向けた取り組み
(8)朝食欠食対策としての朝食提供

健康経営企業での食生活改善事例と成果

では実際に、企業が従業員の食生活を改善した事例と成果を3つご紹介していきます。

その1:タニタ

2008年から健康経営に取り組み、2021年、2022年には健康経営優良法人ブライト500に認定されました。グループ企業のタニタヘルスリンクも健康経営で知られています。
健康計測機器とインターネットを活用し、従業員の活動や身体の変化を見える化して把握できるシステムを導入。翌年より独自の「タニタ健康プログラム」として、見える化した数値をもとに「はかる」「わかる」「気づく」「変わる」という健康づくりのPDCAサイクルを実践し、毎年バージョンアップさせています。

具体的には、2009年は管理栄養士によるメタボ社員への個別指導や「歩数イベント」の開催を、2010年は使用していた体組成計を家庭用からプロ仕様に変更し同年の医療費が2008年と比較して、一人当たり9%減少しました。

2011年には歩数イベントをチーム戦にして社員のモチベーションアップを図り、現在のタニタ健康プログラムと同等のものが完成。2012年には計測を怠った従業員に対してのアラートメール機能を導入しました。また同年に特定健診受診者96名中メタボ認定16名が7名に減少しました。2014年にはセントラルスポーツと提携を図り運動サポートを本格化した他、グループ会社でもタニタ健康プログラムを始めました。

「健康経営優良法人(中小規模法人部門)」2018〜2021年に連続して認定されており、2021年は特に、上位企業だけが受けるブライト500に認定されました。

その2:株式会社オートバックスセブン

置き型社食®︎の「オフィスおかん」という1品100円でお惣菜を購入できる冷蔵庫の無人販売サービスの導入と健康セミナーとの組み合わせで、成果が出ています。
導入前の状態として、健康診断の結果などから従業員の健康面のサポートと、より働きやすい職場をめざすことが必要との意見が社内にありました。
「オフィスおかん」導入の結果、従業員は手軽に健康的な野菜などが入った食事を摂れるようになり、健康状態の改善につながり、対外的な評価も得られました。また、大規模法人部門の中で上位500法人のみが認定される、ホワイト500の取得もできました。
創業当時から従業員の健康を重要視しているとのことで、仕事のパフォーマンス向上や従業員同士のコミュニケーション活性化のためにも、健康的な食事は効果的だとして「オフィスおかん」を継続的に利用しています。

その3:花王株式会社

2008年に発行した「花王グループ健康宣言」のもと、健康経営の取り組みをスタートし、8年連続で健康経営銘柄に、6年連続で健康優良法人大規模法人部門の上位、ホワイト500にも選定されている企業です。
2017年には従業員だけではなく、従業員の家族の健康促進も行う独自の「Kao GENKIプロジェクト」を開始して、データと効果検証の繰り返しで取り組みを続けています。また、翌年以降には受動喫煙防止や社員食堂での「スマート和食®」の導入も始めています。スマート和食®は花王株式会社の商標登録で、専門家によるセミナーやプログラム、マスター講座などです。自社への導入だけでなく、対外向けにも行っています。

食生活を改善することで従業員が得られる3つのメリット

では、企業が健康経営に取り組むと、従業員はどんなメリットがあるのでしょうか。下記で3つ解説していきます。

その1:体調が改善される可能性がある

栄養バランスの整った食事は貧血や虫歯・歯周病など日々の不調改善に役立ちます。例えば、貧血の原因の多くが鉄不足だと言われています。鉄分は豚・鶏・牛レバーや鰹・鮪・めざしなどの魚、豆乳・納豆などの大豆製品、小松菜・春菊・ほうれん草などの野菜に含まれています。もし、カップラーメンだけ、パスタだけ、などの食生活が続くと、鉄分不足になりかねません。また、虫歯や歯周病なども食生活改善によって抑えられると言われています。特に歯周病は糖尿病との密接な関わりが報告されていて、血糖コントロールはどちらの予防にも役立ちます。

その2:生活習慣病の予防につながる

健康診断の中でも血液検査は、脂質異常症や糖尿病など生活習慣病の指標となります。(以下参照)どちらも食生活の乱れが原因とされていて、対策として食生活改善が挙げられています。

・脂質異常症「高脂質血症」の基準値

LDLコレステロール140mg/dL以上、中性脂肪150mg/dL以上、Non-HDLコレステロール170mg/dL以上

・脂質異常症「低脂質血症」の基準値

総コレステロール120mg/dL未満、中性脂肪30mg/dL未満、LDLコレステロール70mg/dL未満、HDLコレステロール40mg/dL未満

・糖尿病の基準値

空腹時血糖が126mg/dl以上、食事をとった後に測った血糖(随時血糖)が200mg/dl以上、あるいはHbA1cが6.5%以上と確認された場合

※これらの基準値だけでは「疑い」の状況です。そのため、病気の基準値に該当している場合は医師に相談することがおすすめです。

他にも、食生活が乱れて起こる生活習慣病として、肥満、高尿酸血症、大腸癌、循環器病などが明らかになっています。

その3:医療費を抑えられる可能性がある

協会けんぽ兵庫支部加入者の2014〜2019年度の医療費総額の推移をみると、生活習慣病により使われた医療費は年々増加傾向にあります。また、同データで2019年度の10歳刻みの年齢階級別の一人当たりの生活習慣病にかかった入院医療費をみると、30〜39歳から増え始め、60歳以上では50%以上を占めています。今からでも生活習慣病の対策をしていけば、長期的にはこの医療費を抑えられるのではないでしょうか。

健康経営を目的とした食生活改善で、従業員も会社も健康に!

健康経営を目的とした食生活改善を行うことで、従業員の健康だけでなく、長い目で見た場合に会社自体の価値・評価・業績の向上につながる可能性が高まります。
企業事例でご紹介したような独自のプログラムを参考にしたり、サービスを導入してみてはいかがでしょうか。しかし、サービス導入を先行させるのではなく、それぞれの会社が抱えている健康課題が解決できる策を行うことが大切です。

【プロフィール】
合田麻梨恵(ごうだ・まりえ)
和health代表 管理栄養士・和食ライフスタイリスト
大手コンビニエンスストアの商品開発を経験し、独立。その後和食ライフでダイエット・貧血・便秘などの不調改善に成功し、和食ライフで心も身体も健康にする和食栄養学メソッドを提唱中。和食料理・健康・美容の専門家”和食ライフスタイリスト”講師・ライター養成、健康経営コンサルティングほか書籍執筆、メディア出演などで活動している。

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