マイナビアライアンスとして医療施設の事業承継をトータルサポートする「MO会」とは

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文/中澤 仁美(ナレッジリング)
撮影/和知 明(株式会社BrightEN photo)
取材・編集/ステップ編集部

病院やクリニック、薬局などの事業承継に関心があっても、実際のプロセスが分かりづらかったり、非常に手間がかかるイメージがあったりして、二の足を踏んでいる方は多いようです。ここでは、MO会を主宰する税理士の髙松仁先生(税理士法人 和 東京事務所所長)にご登場いただき、医療に特化した事業承継のトータルサポートについて伺いました。

高松 仁(たかまつ・ひとし)さん

高松 仁(たかまつ・ひとし)
税理士法人和 東京事務所所長 税理士
1972年兵庫県生まれ。2002年8月税理士資格取得。税理士暦20年。
2003年8月東京都港区芝大門にて事務所開設。2007年1月税理士法人和(なごみ)の設立に伴い東京事務所として加入。医療業やIT業の業務依頼が多い。
著書は『開業医・医療法人……すべてのドクターのための節税対策パーフェクト・マニュアル』(すばる舎)、『出資持分対策パーフェクト・マニュアル』(すばる舎)など。

「医療の最適化」をめざして集結したプロ集団

MO会の正式名称は「メディカルオプティマイザー会」で、「医療の最適化を図る者」という意味です。もともと私は、医療業界のお客様により高品質なサービスを提供すべく、一般社団法人メディカルスタディ協会※で勉強会などに参加していました。約8年前、そこで出会った数人の仲間と分科会を立ち上げたことがMO会の始まりになりました。現在では9つの企業・団体が所属し、地域医療に貢献したいと願う医師や医療関係者に対して開業・事業承継・経営などに付随するサービスを提供しながら、「望ましい道筋」を提案できるように研鑽しています。「医療業界の皆さんに恩返ししたい」という志から、情報提供・相談などは原則無料です。
※メディカルスタディ協会:個人および法人を会員とし、医療・歯科医療・介護の最新動向や経営などについて各種活動を通して学習し、業界の発展に貢献することを目的とした一般社団法人。

事業承継のかたちはさまざまですが、近年急激に増えてきたのが第三者承継です。団塊世代の経営者が、いわゆる後期高齢者の年代に差しかかってきたこともあり、事業承継(譲渡)が急務となるケースが多発しているのです。「わが子に継がせたい」と考えても思いや専門性が一致しなかったり、地域の医療ニーズの変化に伴って診療科の変更や住所の移転を検討する必要があったりして、結果的に第三者承継へ至ることが多い印象です。

新たにクリニックなどを構えようとする場合も、事業承継(譲受)は魅力的でしょう。まったくゼロからのスタートではなく、一定の患者さん(+スタッフ)を抱えた状態で開業できるからです。また、特に東京都内ではクリニックが密集しており、診療圏調査を行うとほとんどのエリアで「経営を成り立たせるのは難しい」というデータが出てきます。すき間がない状態だからこそ、優れた立地に開業済みのクリニックを引き継ぐことで、その後の経営も軌道に乗りやすいのです。

とはいえ、事業承継は「大ごと」というイメージが強く、忙しい診療や業務の間を縫って行えるか不安という方も多いでしょう。実際の承継の流れに沿って、MO会とマイナビがコラボする場合はどのようなサポートを提供しているかご説明します。

マイナビの事業承継の流れについて話す税理士の高松先生

マイナビの事業承継の流れについて話す税理士の高松先生

事業承継の流れ

1.お問い合わせ、ヒアリング

事業承継を検討している背景を、まずは丁寧にお伺いします。そして、譲渡/譲受したい時期や地域、事業の規模感、診療科、投資金額といった点を確認します。必要に応じてMO会の所属企業・団体やマイナビへおつなぎするので、最初の窓口はどちらでもかまいません。

〈お手伝いする企業・団体〉

・税理士法人 和/社会保険労務士法人 和
・YDK日本橋税理士事務所
・社会保険労務士法人FDL
・長谷川行政書士事務所

MO会内の士業が顧問先の場合、そこへ最初に相談されるケースが多いです。

・株式会社タカサ(薬局)

日ごろから医療施設への出入りのある企業は承継開業(譲受)をめざす医師からお声がけいただくことが多いです。

・株式会社マイナビ

人材紹介などのサービスを利用した経緯から、仲介を担うマイナビへ直接相談されるケースも少なくありません。もちろん、まったく新規でのお問い合わせも歓迎しています。

2.ノンネームシートでの紹介、候補の検討

事業承継に関する情報は非常にセンシティブなので、地域の他院や患者さん、スタッフへ漏洩することのないよう、取り扱いに十分配慮する必要があります。そこで、この段階では、都道府県、標榜科目、年商などが書かれた匿名性の高い「ノンネームシート」を作成し、譲受を希望される方に対して限定的な情報開示を行っています。

〈お手伝いする企業・団体〉

・株式会社マイナビ

ノンネームシートの作成、情報管理、譲渡/譲受の候補探しなどを担当します。日本各地における20万社以上+個人の方との膨大なネットワークを生かし、地域の特性、専門性、お人柄まで考慮したご紹介に強みを発揮します。

3.交渉、基本合意契約の締結

ノンネームシートで希望にマッチする候補が見つかったら、秘密保持契約を締結した上で、より詳細な情報(財務・人事情報など)をご案内し、お相手と面談を重ねながら承継条件を確認していきます。特に医師や看護師などカギとなる人材の動き(雇用継続の有無・条件など)は、承継後の医療経営を安定させるという意味でも重要です。

〈お手伝いする企業・団体〉

・株式会社マイナビ

秘密保持契約締結、詳細情報の管理などを担いつつ、交渉を具体的に進めていきます。内容が固まったら、基本合意契約の締結を行います。

・税理士法人 和/社会保険労務士法人 和
・YDK日本橋税理士事務所
・社会保険労務士法人FDL
・長谷川行政書士事務所

詳細情報を確認する段階で疑問点などが出てきた場合は、該当する専門家が書面による事前監査を実施します。

社会保険労務士法人FDLの代表社員、森山幸一さん

社会保険労務士法人FDLの代表社員、森山幸一さん

4.案件監査(デューデリジェンス)、各種届出

財務や人事、法務といった側面から事業の実態を正確に把握し、譲渡/譲受価格などを正しく判断するために案件監査(デューデリジェンス)を行います。これまでの法令手続きに問題がないか、就業規則に瑕疵はないか、帳簿に記された収益や費用は正確か、といった点を細かく確認していきます。

〈お手伝いする企業・団体〉

・税理士法人 和
・YDK日本橋税理士事務所

主に財務面からデューデリジェンスを実施します。特に第三者承継では、その経営者に固有の事象(例:経営者の妻が看護師として働いているが給与が発生していない)を省いた「正常利益」を算出することが価格算定のために欠かせません。

・社会保険労務士法人FDL
・社会保険労務士法人 和

主に人事・法務の面からデューデリジェンスを実施します。医療法人の場合は、代表者が代わっても、本人が退職を希望しない限りスタッフの雇用契約は切れません。そのため、雇用条件(福利厚生や退職金など)を引き継ぐ必要があり、詳細の把握・調整が必須となります。

・長谷川行政書士事務所

主に法令手続きの側面からデューデリジェンスを実施します。これまでの提出書類の控えなどを確認し、何らかの問題があれば、承継の前に正しく手続きをやり直します。特に保険診療に関する手続きにミスがあると、その後の経営にも大きな打撃を与えかねないため、注意が必要です。

YDK日本橋税理士事務所の代表税理士、山口 晴啓さん

YDK日本橋税理士事務所の代表税理士、山口 晴啓さん

5.最終契約と「その後」

譲渡側/譲受側の双方が承継条件を最終調整・確認し、それらを盛り込んだ最終譲渡契約を締結します。しかし、締結して万事完了というわけではありません。新たな人生のステージを力強く歩むため、「その後」にこそ多くのサポートが必要になります。

〈お手伝いする企業・団体〉

・株式会社マイナビ

最後まで交渉・調整における橋渡し役を担い、最終譲渡契約締結まで責任を持って伴走します。承継後もニーズに応じて、譲渡側の経営者に対するキャリア支援を行ったり、譲受側に対するスタッフ補充や人事制度構築のお手伝いしたりすることができます。

・長谷川行政書士事務所

特に個人の事業承継では、引き継ぎに伴って「経営の空白期間」が生まれないよう、行政手続きにも工夫が必要です。管轄の役所により実務の詳細が異なることも多いため、行政書士が関連機関への事前照会・協議を計画的に行うことで、承継をスムーズに進めることができます。

・株式会社ノア(改装)

承継をきっかけにクリニックなどの名称を変更すると同時に、改装を行うことが多いです。新規の患者さんを呼び込むという意味でも美しい空間づくりは大切ですが、医療施設の設計・施工については関連法による規制も多いため、そうした点を正確に理解した専門性の高いリニューアルを実現します。

・株式会社タカサ(薬局)

承継のタイミングで院内処方から院外処方へ切り替えるケースもあるでしょう。近隣に薬局を開業することも含めて検討するほか、承継に伴う課題について医療機関に寄り添う薬局としての側面からお手伝いします。

・株式会社ルナーヴァ(デザイン、ウェブサイト作成)

承継後にクリニック等の印象を一新させ、これまで来院していた患者さんはもちろん、新規の方にもアピールするためには、ウェブサイトのリニューアルが効果的です。医療法による医療広告の制限に抵触しないよう配慮しながら、患者さんに好印象を抱いてもらいやすいデザイン・内容へ仕上げていきます。

・株式会社はなまる(保険)

医療に関する事業を始めるにあたって、リスクヘッジのために保険加入することは必須だといえます。自賠責保険、損害保険、生命保険などを中心に、「万が一」をカバーできる商品を提案します。

株式会社ルナーヴァの代表取締役、川向隆之さん

株式会社ルナーヴァの代表取締役、川向隆之さん

第三者へ承継するなら「早めの動き出し」がカギ

第三者承継について相談に訪れる方の年齢層は、譲受側だと30~40歳代、譲渡側だと60~70歳代が中心です。承継を決断する時期や理由は人それぞれですが、特に譲渡の場合、ついつい先延ばしにする心理が働きがち。中には、「そろそろ承継先を探したい」と相談を始めたものの決断できず、いつの間にか10年以上たっていた……というケースもあるほどです。いきなり現場を離れるのが不安な場合は、承継後も週に数回程度の出勤を継続し、時間をかけて丁寧に引き継ぎを行うことも考えられるので、ぜひご検討ください。

医療施設の経営では何より人材が大切ですから、承継しようと思い立ってすぐに譲れるものではありません。それまで地域医療を支えてきた立場だからこそ、次の経営者がしっかりと思いを引き継げる方かどうか、見極める時間が必要になるはずです。とはいえ、経営が厳しくなってから廃業寸前で売却するよりも、業績が安定している段階で承継するほうが譲渡価格は希望に近くなりやすく、よりよいお相手へ引き継げる可能性も高まります。できれば50歳ごろから承継について考え始め、やると決めたら余裕を持った引き継ぎを実現させることが理想でしょう。医療現場で多忙な毎日を送る経営者にこそ、トータルサポートによる無理のない事業承継をお勧めしたいと思います。

マイナビ事業承継

事業承継に関する不安や悩みを聞き取り、親身になって解決策を考えます。経営者の方々、まずはお気軽にご相談ください。

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