
人事労務担当者必見!2025年法改正にまつわる注目記事まとめ
2025年は、企業の人事・労務に関連するさまざまな制度が改正されます。いずれの改正も、時代の変化に応じて従業員が安心して働ける職場環境を整えるとともに、企業の成長を目指す上で重要な内容です。社内の規定や待遇などに影響が出る可能性もあるため、確実にポイントを押さえておきましょう。
本記事では、企業の人事や労務の担当者が押さえておきたい、2025年の法改正にまつわる最新の注目記事を紹介します。育児・介護休業法や高年齢者雇用安定法をはじめとした制度の改正ポイントについて、各記事のダイジェストをお届けします。
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育児・介護休業法の改正
育児や介護を行う人の仕事と家庭の両立を支援する「育児・介護休業法」が改正され、2025年4月から段階的に施行されます。ここからは、改正のポイントや企業に求められる対応をまとめた記事と、関連記事として育児休業の取得に伴って受け取れる手当についてまとめた記事を見ていきましょう。
育児・介護休業法の改正ポイントとは?企業に必要な対応を詳細解説
この記事は、育児・介護休業法の代表的な制度に加え、2025年4月以降、段階的に施行される改正ポイントについて紹介しています。育児・介護休業法の主な改正点は以下の3つです。
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育児休業の取得状況の公表義務拡大
これまでは、従業員が1,000人を超える事業主に対して、育児休業取得状況の公表義務が課されていました。2025年4月からは、従業員が300人を超える企業にまで拡大します。これにより対象企業は、「男性の育児休業等取得率」または「男性の育児休業等と育児目的休暇の取得率」を公表しなければなりません。
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子の年齢に応じた柔軟な働き方を支援するための措置の拡充
2025年10月からは、3歳~就学前の子供をもつ従業員の柔軟な働き方を支援するための措置が義務化されます。「始業時間等の変更」「月10日までのテレワーク」「保育施設の設置運営等」「新たな休暇を1年に10日を上限として付与」「短時間勤務制度の導入」の5つから、事業主は2つ以上を選択して措置を講じることが必要です。
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仕事と介護の両立支援制度の強化
介護をすると申し出た従業員に対して、仕事との両立を支援する制度の情報提供、雇用環境の整備、個別の周知・意向確認を行うことが、2025年4月から義務化されます。要介護状態の家族を介護する従業員がテレワークを選択できる環境の整備も、事業主の努力義務になるため、早めに準備を進めておくことが重要です。
育児・介護休業法は、さまざまなライフステージの変化に対応しながら長く働き続けられるよう、多様な働き方の選択肢を支援する法律です。これにもとづき、社内環境や制度を整えることは、優秀な従業員を守り、企業の社会的な信頼性を高めることにもつながります。2025年からの改正ポイントを正確に把握しながら、社内の仕組みを整えていきましょう。
育休手当はいくらもらえる?支給額の計算方法や申請の流れを解説
この記事は、育児・介護休業法の改正について直接解説するものではありませんが、育児休業取得のタイミングで支給される育児手当についてまとめられているため、併せて確認することがおすすめです。育休手当の支給条件や支給期間、支給額の計算方法など、正しく理解しておきましょう。
特に2025年以降は、先ほど述べたとおり、男性の育児休業取得状況の公表義務が拡大します。記事で解説されている男性の育休手当などについても詳細を把握して、準備する必要があります。
高年齢者雇用安定法の改正
高年齢者雇用安定法は、働く意欲を持った高年齢者が社会で活躍するための環境整備を目的とした法律です。ここからは、同法の改正に伴う高年齢雇用継続給付金の変化について解説した記事を紹介します。
高年齢雇用継続給付金とは?給付金の計算法や申請時の注意点など解説
この記事では、雇用保険の給付のひとつである高年齢雇用継続給付金について、支給要件や計算方法などを紹介しています。記事内で触れている、2025年4月以降の高年齢者の雇用に関する主な変更点は以下です。
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希望者全員の65歳までの雇用機会の確保が義務化
高年齢者雇用安定法の改正によって、2025年4月からは希望者全員が65歳まで働ける、雇用機会の確保が企業の義務となります。
高年齢雇用継続給付金は、60歳以上65歳未満の雇用保険の一般被保険者であり、60歳を過ぎてから賃金が75%未満に低下した場合に受給資格が生じます。該当する従業員がいる場合は、申請方法なども記事で確認しておきましょう。
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高年齢雇用継続給付金の給付率が15%から10%に縮小
雇用保険法の改正により、2025年4月以降、高年齢雇用継続給付金の給付率は15%から10%に変更となる予定です。高年齢者の雇用に積極的に取り組み、定年前の収入との差額の補填にこの給付金を活用していた企業への影響は大きいでしょう。
将来的には高年齢雇用継続給付金が廃止される可能性も考慮して、企業は処遇や職場環境の改善を検討し、高年齢者がやりがいを感じられる組織づくりを進めることが大切です。
働く意欲のある高年齢者は、これまで以上に長い期間、社会に貢献できるようになってきました。少子高齢化で働き手の確保が困難となる中、豊富な知見や経験のある高年齢者の雇用は企業にとっても大きなメリットになるはずです。高年齢者の雇用にまつわる制度を正確に理解しながら、従業員が長く働ける環境を整備しましょう。
労働安全衛生規制の改正
労働安全衛生規則は、労働環境の安全・衛生の確保などを目的として、厚生労働省が定めた省令です。ここからは、労働安全衛生規則の詳細や改正項目について解説した記事を紹介します。
労働安全衛生規則とは?規則の構成や企業の責務、規則改正を解説
この記事では、2025年4月から労働安全衛生規則の一部改正される省令について解説しています。これによって、作業現場における保護対象範囲が大幅に拡大することになりました。主な変更点は、以下の2つです。
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危険箇所などで作業をする労働者以外の人への拡大
今回の改正によって、危険な場所での作業時、現場にいる労働者以外の人も保護対象となる予定です。一人親方や自社以外の労働者、資材搬入業者、警備員なども対象にすることが義務付けられます。
また具体的な保護措置は、危険箇所などへの立入禁止や立ち入りなどが可能な箇所の限定、悪天候時の作業禁止、事故発生時の退避などです。
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危険箇所における作業の一部を請け負う一人親方などに対する周知の義務化
危険箇所で作業の一部を一人親方や下請業者などに請け負ってもらう場合、「保護具などの使用が必要であること」を周知することが義務化されます。周知の方法としては、作業現場の見やすい場所への掲示や、書面の交付などが挙げられます。
労働安全衛生規則は、労働者の安全を守るため、事業者に課せられたルールです。改正のポイントを見落として対策がおろそかになると、法律に違反するだけでなく大切な従業員の命を危険にさらすリスクがあります。事業主や安全管理担当者は、改正点をすみやかに反映し、働くすべての人にとって安心できる環境づくりを進めましょう。
その他:健康経営優良法人認定制度の改訂
最後に、2025年度に実施される、健康経営優良法人認定制度の改訂についてポイントを解説している記事を紹介します。健康経営優良法人認定制度は法律ではありませんが、従業員が健康的に働き続ける環境づくりに向けて法改正の情報にアンテナを張っている企業担当者は知っておきたい情報です。
健康経営認定2025年度の改訂ポイントは?主要認定項目を詳細解説
近年は、健康経営を重視する企業が増えています。その背景には、世界の投資家の注目が「企業の持続可能性」にシフトしたことがあります。従業員が健康でなければ、社会に求められる商品やサービスを生み出し続けることはできません。そこで従業員を「人的資本」と捉え直し、健康経営を実践する企業が増えたのです。
こうした流れを受けて、健康経営優良法人では制度設計や調査票などが随時見直されています。記事で紹介している2025年の改訂ポイントは、以下の3点です。
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健康経営の可視化と質の向上
健康経営の取り組み意義を明確にし、効果を可視化することを意識付けます。また、多様な背景を持つ従業員への支援も重要です。
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新たなマーケットの創出
支援サービスの質や健康経営の国際認知度の向上、国際展開の支援などを通じて、新たなマーケットの創出を図ります。
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健康経営の社会への浸透・定着
大多数を占める中小企業、および雇用形態の多様化に対応することで、健康経営のさらなる社会への浸透・定着を目指します。
上記を踏まえ、健康経営優良法人の大規模事業者に向けては、健康経営および個人の健康・医療・介護情報を一元管理する「PHR(パーソナルヘルスレコード)の活用促進」など、複数の項目が新設される予定です。
また、中小規模事業者に向けては、新たな顕彰枠の設定の拡大に加え、小規模法人に対する特例制度の導入などが行われます。各項目について、詳しくは記事を参照ください。
健康経営の評価指標の多様化は、自社の強みを活かして健康経営に取り組みたい企業にとって絶好のチャンスです。企業の担当者は健康経営に関する従来の成果を見直すとともに、それらの質向上の取り組みを進めましょう。
時代の変化に伴う制度の見直しをキャッチアップし、2025年も健康経営を目指そう
法律や制度は、時代の流れに応じてこまめに改訂されます。対応が後手に回ると、適切に従業員をフォローできなくなることもあるため、企業の担当者は常にアンテナを張っておく必要があります。
従業員の勤務環境や労働条件にまつわる情報のキャッチアップとすみやかな対応に努め、2025年も健康経営を目指しましょう。
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