用語集

フレイル

読み:ふれいる

フレイルとは、「フレイル診療ガイド 2018年版」(※1)によると、『加齢に伴う予備能力低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態を表す“frailty”の日本語訳として日本老年医学会が提唱した用語である』と記載されており、要介護状態に至る前段階の位置付けです。
また、「身体的脆弱性のみならず精神心理的脆弱性や社会的脆弱性などの多面的な問題を抱えやすく、自立障害や死亡を含む健康障害を招きやすいハイリスク状態を意味する」とも定義されています。

なお、ジャパンナレッジの日本大百科全書(ニッポニカ)(※2)によると、フレイルの判定には下記のような基準があります。
『フレイルの判定には、フリードLinda P. Fried(1949― )らの提唱した判定基準を日本人用に改変した以下の五つの基準が用いられている。すなわち、(1)疲れやすさの自覚、(2)体重減少、(3)筋力低下、(4)歩行速度の低下、(5)活動量の低下であり、3項目以上該当すると「フレイル」、1または2項目だけの場合にはフレイルの前段階である「プレフレイル」と判定される。
フレイルの予防・改善には、栄養(バランスのよい食事)、運動(ウォーキング、ストレッチなど)、社会参加(趣味、ボランティア、就労など)が有効である。』

高齢者、特に後期高齢者は、複数疾患の合併のみならず、加齢に伴う臓器の機能低下を基盤としたフレイルや認知症などの進行というリスクを抱えているのが実情です。多病・多剤処方の状態によって健康上の不安は大きくなりますが、そうした不安を取り除き、住みなれた地域で自立した生活ができる期間の延伸や、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の維持向上を社会は目指していかなければなりません。

日本では、高齢化が急激に進行しており、特に後期高齢者の増加は顕著です。2022年時点における国内総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は29.0%です。
また、将来推計によると高齢化率はそのまま上昇を続け、2035年には32.3%となり、国民の3人に1人が65歳以上となると見込まれています(※3)。
そのため、後期高齢者医療をはじめとした社会保障制度が安定的に運営されることは非常に重要です。高齢者が安心して暮らせる社会の継続は、この国の命題ともいえます。

※1一般社団法人日本老年医学会、国立研究開発法人国立長寿医療研究センター「フレイル診療ガイド 2018 年版」|一般社団法人日本老年医学会(2018年4月)
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/frail_guide.html

※2ジャパンナレッジ 日本大百科全書(ニッポニカ)「フレイル」|ネットアドバンス(2020年11月) https://japanknowledge.com/contents/nipponica/sample_koumoku.html?entryid=1786

※3内閣府「令和5年版高齢社会白書」|内閣府
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2023/zenbun/05pdf_index.html

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