PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)とは、個人の健康に関する情報を一元的に管理するための仕組みやデータベースを指します。PHRは、医療機関や健康管理サービスから取得した情報だけでなく、個人が記録した情報も含まれます。具体的には、ウォーキングの歩数や、心拍数、食事内容といったライフスタイル情報、アレルギー情報などです。
従来、健康に関するデータは医療機関ごとに分散しており、患者自身がそれらにアクセスすることは容易ではありませんでした。しかし、PHRを利用すれば、自身の健康データを一元的に管理できるようになり、下記のようなメリットが生まれます。
医療の質の向上:患者が自分の健康データを把握しているため、診察時に必要な情報を的確に提供でき、診断や治療が行いやすくなる。
緊急時の迅速対応:急病や事故などの緊急時でも、PHRによって過去の病歴やアレルギー情報などを第三者が即座に確認できる。
自己管理の強化:糖尿病の人であれば必要な血糖値の記録もPHRで簡単に管理できるようになる。
健康政策の推進:PHRによって集積されたデータは個々の健康管理だけでなく、社会全体の健康増進や政策立案にも役立つ。
PHRの普及には、プライバシーやデータセキュリティの確保、使いやすさの向上といった課題もありますが、その利便性とポテンシャルは大いに注目されており、社会のデジタル化の進展とともに今後さらなる発展が期待されています。
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