うつ感情は、「ストレス以上うつ病未満」の状態を指す言葉です。うつ病と診断されるほど深刻ではないものの、通常以上のストレスを抱えて大きな精神的負担がかかっている状態といえます。うつ感情を抱えると、寝つけない日が続いたり、食事を「おいしい」と感じられなかったりするほか、漠然とした焦燥感を覚える状態になります。うつ感情は、長く継続するものではありません。しかし、いったん乗り越えたとしても、数日経つとまた同じような感情が押し寄せる状態が繰り返されます。
うつ感情を抱えやすいのは、特にストイックに物事を考える人や完璧主義の人です。仕事や家庭、人間関係、経済状況、健康状態など、さまざまな要因が複合的に影響し、うつ感情を引き起こすといわれます。うつ感情を軽減させるためには、憂鬱だと感じることを行うメリットとデメリットを書き出して、状況を客観視することが大切です。また、やりたいことをリスト化して実行したり、うつ感情に区切りをつけて意識的に離れたりすることも有効といえます。
うつ感情をはじめとする従業員のメンタルヘルスの不調は、企業にとっても大きな課題です。従業員が日常的にセルフケアを行えるよう、企業は教育研修や情報提供を行う必要があります。また、管理監督者が従業員の異変に気づき、必要に応じて社内外の専門スタッフによるケアにつなげることも重要です。うつ感情は誰にでも起こりえるため、企業としても早期に適切な対応を行うことが求められます。
【参照】
厚生労働省 独立行政法人労働者健康安全機構「職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~」|厚生労働省(2024年7月24日)
https://www.mhlw.go.jp/content/000560416.pdf