アンコンシャスバイアスとは?代表例や解消に向けた流れを解説

アンコンシャスバイアスとは?代表例や解消に向けた流れを解説

「日傘を差すのは女性」「◯◯をするのは常識だ」といった思い込みがあるとしたら、その人はアンコンシャスバイアスがあるといえます。
アンコンシャスバイアスは、人間関係だけでなく企業の成長などにも影響するとして、近年注目されています。

本記事では、アンコンシャスバイアスの意味や代表例、解消に取り組むメリットや方法などについて解説します。

目次[非表示]

  1. 1.アンコンシャスバイアスとは
    1. 1.1.アンコンシャスバイアスが注目される理由
  2. 2.アンコンシャスバイアスは身の回りにある
  3. 3.アンコンシャスバイアスの代表例
    1. 3.1.正常性バイアス
    2. 3.2.集団同調性バイアス
    3. 3.3.アインシュテルング効果
    4. 3.4.ハロー効果
    5. 3.5.ステレオタイプ
    6. 3.6.ステレオタイプ脅威
    7. 3.7.確証バイアス
    8. 3.8.慈悲的差別
    9. 3.9.ダニング・クルーガー効果
    10. 3.10.インポスター症候群
  4. 4.アンコンシャスバイアスの原因
    1. 4.1.エゴ
    2. 4.2.習慣と慣習
    3. 4.3.感情スイッチ
  5. 5.アンコンシャスバイアスに起因する問題
    1. 5.1.公正さが損なわれる
    2. 5.2.多様性の推進が妨げられる
    3. 5.3.パフォーマンスが低下する
  6. 6.アンコンシャスバイアスの解消に取り組むメリット
    1. 6.1.企業イメージが良くなる
    2. 6.2.イノベーションが生まれやすくなる
    3. 6.3.パフォーマンスが良くなる
  7. 7.アンコンシャスバイアス解消のステップ
    1. 7.1.1. 実態把握とマインドセット
    2. 7.2.2. 解消に向けた研修の実施
  8. 8.アンコンシャスバイアスを解消し、企業の成長につなげよう

アンコンシャスバイアスとは

アンコンシャスバイアス(unconscious bias)とは脳がエネルギー消費を抑えて物事を判断するための機能を指し、「無意識の偏ったものの見方」「無意識の思い込み」「無意識の偏見」などと訳されます。
血液型から性格を判断するなど、日常的で些細な言動に表れますが、多くの場合は「よくあること」として見過ごされています。

しかし、アンコンシャスバイアスを解消しないままにすると、偏見を受けている従業員のパフォーマンス低下につながることもあるため、注意が必要です。
また、ダイバーシティ&インクルージョンの普及もあり、多様な従業員を受け入れ適切にマネジメントするためのトレーニングを行う企業が増えているなど、アンコンシャスバイアスへの取り組みの重要性は高まっています。

【参考】内閣府男女共同参画局「【全体版】性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)の解消等に向けた普及啓発用動画~PART2~」|内閣府男女共同参画局(2023年)
https://www.youtube.com/watch?v=4claY959uhU

【参考】内閣府男女共同参画局「共同参画 第144号:2021年5月号」|内閣府男女共同参画局(2021年5月)
https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2021/202105/pdf/202105.pdf

アンコンシャスバイアスが注目される理由

アンコンシャスバイアスが注目されるようになったのは、2000年代頃からのことといわれています。
アメリカの大手IT企業「Google」は、従業員の構成比において「人種」や「性別」に偏りがあるとの指摘を受けたことをきっかけに、2013年より教育研修を行い改善に取り組んでいます。

近年、日本でも企業における従業員の男女比率が変化し、働き方の多様化も進んでいます。こうした変化の中、アンコンシャスバイアスに取り組む重要性は高まっているといえるでしょう。

【参考】HUMAN CAPITAL サポネット「アンコンシャス・バイアスとは、採用選考や人材評価での対処法」|株式会社マイナビ(2022年7月)
https://saponet.mynavi.jp/column/detail/ty_saiyo_t03_unconscious-prejudice_220720.html

アンコンシャスバイアスは身の回りにある

前述のとおり、アンコンシャスバイアスは些細な言動にも表れるものです。誰にでもあり、職場だけでなく生活の至る所に見られます。職業や肩書を聞いただけで性別や外見などを想像してしまうことも、アンコンシャスバイアスの一例とされています。

内閣府男女共同参画局が行った「令和4年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究」では、全国の20代~60代の男女に性別に関するアンコンシャスバイアスがあるかどうかを聞く複数の質問をしたところ、全体の76.3%が「そう思う」「どちらかといえばそう思う」を1つ以上回答するという結果が出ました。

アンコンシャスバイアスは、善し悪しを簡単に決めることができません。アンコンシャスバイアスがあることで、人は物事を大まかに捉えられ、スムーズなコミュニケーションが可能となる側面もあります。
一方で、アンコンシャスバイアスが問題の原因となってしまうこともあるかもしれません。自分自身にもアンコンシャスバイアスがあると自覚し、普段から意識することが大切だと考えられています。

【参考】内閣府男女共同参画局「令和4年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究」|内閣府男女共同参画局(2022年11月)
https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/pdf/seibetsu_r04/02.pdf

アンコンシャスバイアスの代表例

アンコンシャスバイアスの代表例は下記のとおりです。自分自身にアンコンシャスバイアスがあるかどうか見ていきましょう。

正常性バイアス

正常性バイアスは、問題や危険を軽視したり過小評価したりすることです。「これくらいなら大丈夫」「自分にはそんなことは起きない」といった、自分に都合のいい思い込みをしてしまうことを指します。

集団同調性バイアス

集団の中にいて、周囲と同じように行動しようとするバイアスが集団同調性バイアスです。「周りに合わせるほうがいい」といった思い込みで、日本は海外よりもこのバイアスがある人が多いといわれています。

アインシュテルング効果

アインシュテルング効果は、慣れ親しんだ価値観やものの見方により、別の考え方や視点に気づかない、または無視してしまうことです。過去の成功体験に固執してしまうことなどを指します。

ハロー効果

好意を抱いている人の言動を好意的に捉える作用をハロー効果といいます。好きな人の発言について「◯◯が言っているから正しい」などと考える傾向のことです。

ステレオタイプ

性別・年齢・国籍・職業などの属性をもとに、先入観や固定観念で物事を判断するバイアスをステレオタイプと呼びます。消防士や警察は男性、日本人は勤勉といった思い込みを指します。

ステレオタイプ脅威

ステレオタイプとは逆に、属性に対する固定観念が自分に対し否定的に働くバイアスがステレオタイプ脅威です。マイノリティの立場にある人が、実力を発揮することを無意識に抑制してしまうことなどを指します。

確証バイアス

確証バイアスは、自分が見たいものや自分にとって都合のいい情報を意識的に集める傾向のことです。自分の信念や仮説に反する情報があっても自分の考えに固執してしまい、他人の意見に耳を傾けられなくなることがあります。

慈悲的差別

少数派など、弱い立場にある人に対し、好意的でありながら思い込みを抱くことを慈悲的差別といいます。高齢者や女性には力仕事をさせないなどが具体例です。

ダニング・クルーガー効果

ダニング・クルーガー効果は、自分の能力を正しく評価するのを妨げるバイアスのひとつです。能力が不足していても正しい自己評価ができず、逆に過大評価してしまうことを指します。このバイアスがあると、周囲の意見を謙虚に受け止めるのが難しくなり、成長の妨げになると考えられています。

インポスター症候群

インポスター症候群は、自分に対する評価を信じることが難しいことを指し、ダニング・クルーガー効果とは逆のバイアスです。インポスター症候群があると、チャンスがやってきてもまだ条件や準備が整っていないと感じてしまい、チャレンジしにくくなるといわれています。

【参考】経済産業省「令和4年度産業経済研究委託事業(ダイバーシティ経営推進に向けたアンコンシャス・バイアス研修のあり方と効果測定指標等に関する調査)」|経済産業省(2023年3月)
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/R4_diversity_bias.pdf

アンコンシャスバイアスの原因

アンコンシャスバイアスには、原因があると考えられています。主な原因は下記のとおりです。

エゴ

エゴ(ego)は直訳すると「自我」ですが、「自分を正しいと思わせたい」「よく見せたい」といった気持ちとしてアンコンシャスバイアスの原因になります。エゴは、自己防衛や保身の言動となって表れます。

習慣と慣習

習慣とは「長く繰り返すうちに決まりとなったこと」で、慣習は「社会で古くから受け継がれているしきたり」です。これらによって、新しい価値観や異なる文化を意識できず、従来どおりの方法などに固執するというアンコンシャスバイアスにつながる可能性があります。

感情スイッチ

感情スイッチは、喜びや怒りといった感情を生み出すスイッチです。不安や劣等感を刺激されると自己防衛や保身の言動につながることもあるため、アンコンシャスバイアスの原因になると考えられています。

【参考】内閣府男女共同参画局「共同参画 第144号:2021年5月号」|内閣府男女共同参画局(2021年5月)
https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2021/202105/pdf/202105.pdf


【参考】経済産業省「令和4年度産業経済研究委託事業(ダイバーシティ経営推進に向けたアンコンシャス・バイアス研修のあり方と効果測定指標等に関する調査)」|経済産業省(2023年3月)
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/R4_diversity_bias.pdf

アンコンシャスバイアスに起因する問題

アンコンシャスバイアスを解消しないままにすると、組織の中や人間関係において問題化することがあります。アンコンシャスバイアスに起因する主な問題は、下記のとおりです。

公正さが損なわれる

人事部や事業部の担当者に「女性は結婚すると退職する」「関西人だから話がうまい」といった思い込みがあると、採用や配属の公正さが損なわれる可能性があります。
優秀な人材を採用できなかったり、ミスマッチにつながったりするだけでなく、事業の成長を阻害する原因にもなってしまうかもしれません。

多様性の推進が妨げられる

アンコンシャスバイアスが解消されないままだと、外国人やセクシュアルマイノリティの受け入れが遅れ、多様性の推進が妨げられるかもしれません。ダイバーシティ&インクルージョンは、年々注目度が高まっています。多様性の推進が遅れると、企業イメージや社会からの信頼度を下げてしまうおそれもあります。
また、多様性の推進が妨げられると、組織内で異なる意見や知恵が出にくくなります。企業をめぐる複雑な課題に立ち向かう組織力が発揮されないことも、アンコンシャスバイアスによる問題のひとつといえるかもしれません。

パフォーマンスが低下する

従業員のパフォーマンスが低下することも、アンコンシャスバイアスに起因する問題です。
無意識の思い込みが言動に表れると、職場内の人間関係悪化、ハラスメントといった問題を招くことがあります。これにより、周囲の従業員の意欲も下がり、パフォーマンスも低下してしまうかもしれません。

【参考】経済産業省 令和4年度 産業経済研究委託事業 (ダイバーシティ経営推進に向けた アンコンシャス・バイアス研修のあり方と 効果測定指標等に関する調査)事業実施報告書 │経済産業省(2023年3月17日 東京大学)
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/R4_diversity_bias.pdf

アンコンシャスバイアスの解消に取り組むメリット

企業がアンコンシャスバイアスの解消に取り組むことには、複数のメリットがあります。主なメリットは下記のとおりです。

企業イメージが良くなる

アンコンシャスバイアスの解消に取り組むと組織の多様性向上、コンプライアンスの徹底にもつながります。これにより、社会からの好感度や信頼度が高まることが期待できます。企業イメージの向上は良い人材の獲得や事業の成長にもつながるため、多くのメリットがあるともいえます。

イノベーションが生まれやすくなる

イノベーションが生まれやすくなることも、アンコンシャスバイアスの解消への取り組みによるメリットです。国籍や性別に対する思い込みを取り除くと、組織の多様性向上や活性化につながります。価値観や感性の異なる従業員同士が協力し合うことができれば、イノベーションの創出にも良い影響を期待できます。

パフォーマンスが良くなる

アンコンシャスバイアスが解消されると、従業員の能力に合った仕事を任せやすくなるかもしれません。能力に合った仕事を与えることは、本人の実力を引き出し、パフォーマンスを向上させる良いきっかけです。従業員のパフォーマンスが良くなれば事業部、ひいては会社全体の成長にもつながる可能性があるとされています。

アンコンシャスバイアス解消のステップ

アンコンシャスバイアスを解消するステップは主に2つです。アンコンシャスバイアスの解消の取り組みについて見ていきましょう。

1. 実態把握とマインドセット

アンコンシャスバイアスを解消するには、まず本人が自分の思い込みに気づき、解消に向けたマインドセットをすることが大切だと考えられています。
無意識の思い込みであるため、多くの人は自覚がありません。まずはアンコンシャスバイアスとは何かを知り、自分自身にも思い込みがあることに気づく必要があると考えられています。

さらに、組織全体ではどのようなアンコンシャスバイアスがあるのか、どのような影響が出ているのかを分析。実態を把握した上で、アンコンシャスバイアスの解消に向けたマインドセットを行います。

2. 解消に向けた研修の実施

実態把握にもとづくマインドセットができたら、次はアンコンシャスバイアスの解消に向けた研修の実施を検討してみましょう。

アンコンシャスバイアス研修は社内でも実施できますが、外部の専門家などに依頼することも可能です。教材を使用するものやロールプレイング、グループ対話を行うものなどもあり、形式はさまざまです。
研修を行うとアンコンシャスバイアスへの理解が深まるため、自分の思い込みに気づき、改善していく意識が生まれやすくなります。

アンコンシャスバイアスを解消し、企業の成長につなげよう

アンコンシャスバイアスは「無意識の思い込み」であり、多くの人にあるものです。「男性は強い」「尊敬する◯◯が間違うはずがない」などの思い込みがあると、組織の公正さや多様性を損なう可能性があります。また、従業員の意欲やパフォーマンスの低下にもつながるかもしれません。
アンコンシャスバイアスの解消に取り組むとそのような問題の改善につながり、ビジネスの成功を支える力にもなるのではないでしょうか。

企業がアンコンシャスバイアスを解消するためには、実態把握とマインドセット、解消に向けた研修の実施などを行う選択肢もあります。アンコンシャスバイアスの解消に取り組むことで、企業の成長につながる可能性があります。

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