生理休暇とは?労働基準法や企業、従業員双方に求められる対応を解説

生理休暇とは?労働基準法や企業、従業員双方に求められる対応を解説


目次[非表示]

  1. 1.生理休暇とは?労働基準法や企業、従業員双方に求められる対応を解説
  2. 2.生理休暇とは、自己申告によって取得できる休暇
    1. 2.1.生理休暇の目的
    2. 2.2.生理休暇に関連する法律
  3. 3.生理休暇の取得状況と給与の扱い
    1. 3.1.生理休暇の取得状況
    2. 3.2.生理休暇における給与の扱い
  4. 4.生理休暇を推奨する企業のメリット
    1. 4.1.安全衛生管理体制を強化できる
    2. 4.2.女性のモチベーションがアップする
    3. 4.3.優秀な人材を採用しやすくなる
  5. 5.生理休暇制度を構築する際のポイント
    1. 5.1.就業規則を変更する
    2. 5.2.取得単位を決める
    3. 5.3.申請手続きを整備し、申請方法も検討する
    4. 5.4.従業員へ周知する
    5. 5.5.女性の健康問題に関するリテラシーを向上させる
    6. 5.6.相談窓口を設置する
  6. 6.会社に生理休暇の取得を断られた際にとるべき従業員の対応
  7. 7.生理休暇制度を構築する際の注意点
    1. 7.1.取得日数を制限してはいけない
    2. 7.2.雇用形態を限定してはいけない
    3. 7.3.診断書などの提出を求めてはいけない
  8. 8.女性のウェルネスサポートを充実させ、健康経営を実践しましょう

生理休暇とは?労働基準法や企業、従業員双方に求められる対応を解説

女性が社会進出する上で、ライフステージの変化とともに現れるさまざまな疾患や、ホルモンバランスの影響との付き合い方はとても重要です。中でも、生理にまつわるトラブルは、過多月経、PMS(月経前症候群)、PMDD(月経前不快気分障害) など多岐にわたり、頻度も高いことから、仕事への影響を感じる女性は少なくありません。

今回は、生理日の就業が著しく困難な女性が申請できる生理休暇と、企業と従業員に求められる対応について解説します。生理休暇の取得状況と給与の扱いや、生理休暇を推奨する企業のメリットのほか、生理休暇を導入する際のポイントや注意点などを分かりやすく紹介しますので、制度設計にお役立てください。

生理休暇とは、自己申告によって取得できる休暇

生理休暇は、生理に伴って起こるさまざまな症状が原因で就業が難しい場合に、原則として女性みずからの申告によって取得できる休暇です。まずは生理休暇の目的や、関連する法律について見ていきましょう。

生理休暇の目的

生理に関する不調を訴える女性は多く、就業している女性にとっては大きな課題となっています。「生理痛(月経痛)は当たり前」のことではありません。月経前や月経中の体の不調には、病気が潜んでいる可能性もあるからです。
例えば、生理痛や貧血、月経不順・無月経、または腹部の緊満感や肩こり、頭痛といった身体的症状と、無気力・集中力低下といった精神的症状が起こる月経前症候群(PMS)など、さまざまな症状があります。

こうした場合、無理に就業することは症状の重症化や恒常化につながるおそれがあります。そのため、女性がみずからを守る権利として行使できるように、生理休暇が制定されました。

【参照】女性の健康推進室ヘルスケアラボ「みんな悩んでる月経のトラブル」|厚生労働省研究班
https://w-health.jp/monthly/

生理休暇に関連する法律

生理休暇には、企業の任意で設置される法定外福利厚生のようなイメージがありますが、実は労働基準法の第68条で規定されている法定休日です。そのため、申請を却下して休暇を与えない、無理に就業させるといった対応は、法律違反になります。

<生理休暇(第68条)>
使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求した場合には、その者を生理日に就業させてはなりません。

なお、「生理日の就業が著しく困難な女性」に明確な定義はなく、月経痛、頭痛、腹痛、倦怠感などで出勤・就業が難しい全ての女性が対象です。症状には個人差があり、感じ方も人によって異なるため、企業側が「倦怠感程度なら就業できるだろう」といった判断をすることはできません。従業員から申し出があった場合、企業は診断書の提出などを求めることなく、すみやかに対応する必要があります。
また、生理休暇は、正社員だけでなく非正規雇用の契約社員、アルバイト、パートも取得することができます。

【参照出典 】厚生労働省「労働基準法のあらまし」|厚生労働省(2022年10月)
https://www.mhlw.go.jp/content/000835962.pdf

生理休暇の取得状況と給与の扱い

生理休暇は労働基準法で定められているものの、実際の取得状況はどうなっているのでしょうか。生理休暇の取得状況と給与の扱いについて見ていきます。

生理休暇の取得状況

生理休暇は、女性の社会進出が推奨され、実際に働く女性が増えている現代において欠かせない制度ですが、取得率は上がっていません。
厚生労働省が公表している「令和2年度雇用均等基本調査 」によれば、2020年度に生理休暇を請求した女性労働者の割合は0.9%でした。一方、日本労働組合総連合会東京都連合会 によれば、生理痛を経験したことがある女性は全体の9割に上り、調査対象の女性のほぼ全てが生理痛を経験しています。

働き方改革によって労働力としての女性に注目が集まっているにもかかわらず、依然として多くの女性が生理のトラブルに悩みながら就業し、生理休暇の申請など具体的な対策をとれずにいるのです。

【出典】連合東京男女平等局「生理休暇と更年期障害に関するアンケート-調査報告書-」P5より加工|連合東京男女平等局(2022年7月)

【出典】連合東京男女平等局「生理休暇と更年期障害に関するアンケート-調査報告書-」P5より加工|連合東京男女平等局(2022年7月)

【参照】厚生労働省「令和2年度雇用均等基本調査 」|厚生労働省(2021年7月)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r02/03.pdf

【参照】連合東京男女平等局「生理休暇と更年期障害に関するアンケート-調査報告書-」|連合東京男女平等局(2022年7月)https://www.rengo-tokyo.gr.jp/activity07/%e3%80%8c%e7%94%9f%e7%90%86%e4%bc%91%e6%9a%87%e3%81%a8%e6%9b%b4%e5%b9%b4%e6%9c%9f%e9%9a%9c%e5%ae%b3%e3%81%ab%e9%96%a2%e3%81%99%e3%82%8b%e3%82%a2%e3%83%b3%e3%82%b1%e3%83%bc%e3%83%88%e8%aa%bf%e6%9f%bb/

生理休暇における給与の扱い

生理休暇は、年次有給休暇と同じ法定休暇ですが、生理休暇を有給とするか否かは企業の判断にゆだねられています。前出の「令和2年度雇用均等基本調査」によると、有給の生理休暇を設定している事業者は全体の約3割にとどまっていました。ただ、そのうちの65.6%が「全期間100%支給」としているため、生理休暇が取得しやすい職場環境をつくっている企業は一定数いると見られます。

生理休暇が無給である場合、「無理をしてでも働こう」「有給休暇を使おう」といった心理が働くことは容易に想像できます。有給・無給が法律で規定されていないことは、有給休暇の申請件数が伸びない一因であるといえるでしょう。

【参照】厚生労働省「令和2年度雇用均等基本調査 」|厚生労働省(2021年7月)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r02/03.pdf

生理休暇を推奨する企業のメリット

企業は、女性からの生理休暇の申請に応じる義務があります。しかし、「職場内の共感が得にくく、申請にハードルがある」「人手不足で休みづらい」など、女性側が申請をためらうことも多いようです。働く女性がますます増えていく今、生理休暇の取得を推奨することは企業にとって非常に重要です。
ここでは、企業が生理休暇の取得を推奨することで生まれるメリットを、3つご紹介します。

安全衛生管理体制を強化できる

安全衛生管理は、企業がみずからの社会的責任として、職場における労働者の安全と健康を守る取り組みです。生理休暇を推奨し、体調に応じて申請しやすい環境を作ると、生理による貧血で女性従業員が転倒してケガをしたり、不調が悪化したりするリスクを軽減できます。

女性のモチベーションがアップする

仕事の効率や、生活の質を著しく低下させる生理のトラブルに対して、組織がサポートする方針を明確に示すと、エンゲージメントの向上が期待できます。従業員のエンゲージメントが向上すれば、つらいときに守ってくれる会社にできるだけ貢献し、成果で還元したいと考えるようになり、仕事に対するモチベーションもアップするでしょう。

優秀な人材を採用しやすくなる

生理痛がつらい女性にとって、生理休暇の有無は就職や転職の際の重要なチェックポイントです。生理休暇の存在と利用状況が求人情報に明記されていれば、安心して応募することができます。結果として、女性の応募が増え、優秀な女性を採用しやすくなるでしょう。

生理休暇制度を構築する際のポイント

生理休暇制度を構築する際には、ルールの明確化や社内への周知など、事前の準備が重要です。続いては、生理休暇制度を構築する際のポイントを見ていきましょう。

就業規則を変更する

就業規則に記載がない場合は、就業規則の休暇の項目に「生理休暇」を加えておきましょう。併せて、労働基準法をもとに「生理日の就業が著しく困難な女性から申請があった場合、必要な日数の休暇を与えるものとする」といったルールも記載します。

取得単位を決める

生理休暇の取得単位は、時間単位、半日単位、1日単位など、企業によって自由に設定することができます。ただし、月給制の企業で無給の生理休暇を時間単位で取得できるようにした場合、給与計算に手間がかかるおそれがあります。
生理休暇の取得単位は経理面の負担も考慮し、自社に合った単位を決めましょう。

申請手続きを整備し、申請方法も検討する

生理休暇の申請手続きが煩雑だと、申請のハードルが上がって利用率が落ちます。デリケートな問題だけに、できるだけメールや口頭で簡単に申請できるよう、手続きを整備しましょう。申請方法が決まったら、就業規則に記載します。

従業員へ周知する

生理休暇制度の構築とその利用条件については、しっかりと全従業員に周知します。さらに、女性が安心して働き、成果を出すために有効な施策であることなど、構築意義と目的についても説明しましょう。

女性の健康問題に関するリテラシーを向上させる

女性が生理休暇を申請しにくい理由のひとつに、男性従業員や、生理トラブルが軽い女性従業員からの理解が得にくい点があります。生理にまつわるつらさは個人差が大きく、自分の尺度では判断できないこと、そして生理休暇は女性の権利であり会社の義務であることを知ってもらうために、リテラシー向上につなげる研修の実施なども検討しましょう。

相談窓口を設置する

「生理トラブルがひどく、対処法を知りたい」「女性の部下のために、生理休暇について詳しく知りたい」といった場合に気軽に相談できる窓口があると、生理や生理休暇をタブー視する雰囲気が薄れます。産業医などにメールで相談できるといいでしょう。

会社に生理休暇の取得を断られた際にとるべき従業員の対応

もし、授業員が生理休暇を申請して断られたら、どのように対処すれば良いのでしょうか。
原則として生理休暇は、労働基準法で定められた法定休暇であるため、使用者は従業員からの取得要請を断ることはできません。請求を拒否して取得させなかった場合、30万円以下の罰則が科されます。

よくあるシチュエーションは、直属の上司が生理休暇の存在を知らなかったり、存在は知っていても法定休暇であることを認識していなかったりするケースです。生理休暇の周知が不十分な企業や、古い体質が根強く残る企業ではこうした問題が起きやすいため、人事・労務部門に相談することをおすすめします。

生理休暇制度を構築する際の注意点

生理休暇は、働く女性を守り、能力を十分に発揮してもらうために欠かせない制度です。しかし、構築のしかたを誤ると、思わぬ反発やトラブルを招くことになりかねません。生理休暇制度を構築する際は、下記の3点に注意してください。

取得日数を制限してはいけない

診断書などの客観的な証拠がないまま、口頭やメールでの申告だけで無制限に休暇を許可することに抵抗がある企業は多いかもしれません。しかし、労働基準法は生理休暇の上限を設定しておらず、企業側が独自に制限を設けることは不可能です。
生理のトラブルが何日続くかは人によって異なるため、生理休暇の日数を制限することは生理休暇の取得を妨げることにもつながります。取得する側と企業側との信頼関係に基づいて、申請どおりに休暇を許可することが大切です。

また、女性従業員自身が生理休暇についてよく理解していないと、本来の趣旨とは違う使い方をされるリスクがあります。業務をサポートする人の負担が無駄に増えたり、社内の人間関係に影響を及ぼしたりすることがないよう、取得対象となる女性従業員を含めて「どんなときに」「どんな単位で」取得できるのかをしっかり説明してから構築しましょう。

雇用形態を限定してはいけない

生理休暇は、正社員だけでなく、パート社員やアルバイトスタッフにも平等に取得する権利があります。就業規則を作成する際は、「生理休暇の取得は正社員のみとする」「パートタイマーやアルバイトの生理休暇取得は認めない」といった独自の規定を盛り込むことはできません。

人手不足の企業や、アルバイトやパートの占める割合が多い現場などでは、安易な申請を避けるためにこうしたルールを設定する傾向があります。しかし、生理休暇は働く女性全体の、ウェルビーイングを高めるための制度です。そのことを念頭に置き、雇用形態による区別はしないようにしましょう。

診断書などの提出を求めてはいけない

生理に伴うトラブルは客観的に見えにくいものです。生理休暇の申請頻度が多い従業員や、毎月の取得日数が長い従業員に対して、実体験を伴わない男性従業員や比較的生理トラブルが軽い女性従業員から「本当に就業が困難なのか」と疑いの声が上がる可能性は十分にあります。
経営層の立場からしても、生理休暇の取得にばらつきがある場合などは、客観的な証拠として診断書の提示を求めたくなるかもしれません。

しかし、生理休暇に際して、エビデンスとして診断書の提示を求めることはできません。診断書の提出は妥当とはいえないため、従業員を信じて休暇を認めましょう。
なお、厚生労働省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」では、生理休暇の構築事例を確認することもできます。下記サイト内で「生理休暇」と検索をし、企業の事例をチェックしてみてはいかがでしょうか。

【参考】働き方・休み方改善ポータルサイト「特別な休暇制度導入事例」|厚生労働省
https://work-holiday.mhlw.go.jp/kyuukaseido/search.php

女性のウェルネスサポートを充実させ、健康経営を実践しましょう

女性従業員が特有の疾患に左右されずに働くための制度を整えることは、従業員のウェルビーイングを向上させ、心身ともにすこやかな状態で働ける環境づくりの第一歩となります。まずは、生理休暇制度の構築を検討してみてはいかがでしょうか。

「マイナビ健康経営」は、さまざまなニーズに応じたウェルネスサポートのご提供をしています。また、健康経営の制度設計や、女性が活躍しやすい環境への整備について、専門家によるフォローも実施しています。従業員の健康向上を目指している方は、ぜひお気軽にお声掛けください。

「マイナビ健康経営」のお問い合わせはこちら

<監修者>
丁海煌(ちょん・へふぁん)/1988年4月3日生まれ。弁護士/弁護士法人オルビス所属/弁護士登録後、一般民事事件、家事事件、刑事事件等の多種多様な訴訟業務に携わる。2020年からは韓国ソウルの大手ローファームにて、日韓企業間のM&Aや契約書諮問、人事労務に携わり、2022年2月に日本帰国。現在、韓国での知見を活かし、日本企業の韓国進出や韓国企業の日本進出のリーガルサポートや、企業の人事労務問題などを手掛けている。

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