雇用調整助成金特例措置が2023年1月まで延長!まだ間に合う申請方法や受給要件を社労士が解説 コロナ業績不振時に従業員を守る制度

雇用調整助成金特例措置が2023年1月まで延長!まだ間に合う申請方法や受給要件を社労士が解説 コロナ業績不振時に従業員を守る制度

文/深石 圭介 社会保険労務士
新型コロナウイルスの影響により、特例措置が実施されている雇用調整助成金の申請期限が2023年(令和5年)1月まで再延長されることになりました。今までに雇用調整助成金を申請していなかった企業も、まだ間に合うチャンスです。社会保険労務士の深石圭介さんに、初めて雇用調整助成金を申請する方法や継続して申請している企業が気をつけるポイントを解説していただきました。

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目次[非表示]

  1. 1.雇用調整助成金とは?申請の要件
    1. 1.1.「特例」とは?
    2. 1.2.財政状況と政策
  2. 2.雇用調整助成金の申請方法―初めて申請する企業の場合
    1. 2.1.<ポイント1>「雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書」が重要
    2. 2.2.<ポイント2>生産指標要件はどの月と比較する?
  3. 3.雇用調整助成金の申請方法―今までに申請したことがある企業の場合
    1. 3.1.<ポイント1>「生産指標要件」はもう1度チェックするべき?
    2. 3.2.<ポイント2>会社の規模により「休業規模要件」のチェックが必要
    3. 3.3.<ポイント3>休業協定書の期限をチェック
      1. 3.3.1.雇調金の業況特例、地域特例を使う企業
      2. 3.3.2.雇調金の今後

雇用調整助成金とは?申請の要件

企業は従業員を雇用して事業を行い、利益をあげ、給料を払います。その活動の中で、新型コロナウイルスなどの要因により業績が悪くなり、経済的に苦しくなって従業員を雇用し続けることが難しくなることがあります。

雇用調整助成金とは、企業業績が苦しくなったその際に企業が従業員を解雇するのではなく、従業員に自宅待機してもらい、休業手当を払いながら雇用を維持するための助成金です。申請すれば休業手当の一部が国から助成され、休業の間に従業員が教育訓練を行えば、さらに助成金が上乗せされます。

休業すること以外に、主な受給要件は以下の通りです。

  1. 法的な営業停止や季節的なものでなく、経済上の理由により、休業すること。
  2. 昨年度よりも売上が落ちていること。(生産指標要件)
  3. 6カ月以上雇用保険に入っている労働者の休業であること。
  4. クーリング期間(制度利用後、1年経過しなければ申請できない)ではないこと。
  5. 企業の規模によって最低限休業しなければならない人数を守っていること。(休業規模要件)
  6. 休業中に他の従業員が残業した場合はその分助成金が減額となる。(残業相殺)

など

申請期限は1カ月間の休業が終わってから2カ月経つまで。例えば6月1日~30日分の休業の支給申請期限は8月31日です。
休業実施後、都道府県労働局やハローワークに後述する書類をPDFにして、雇用調整助成金等の専用サイトから電子申請で送る、あるいは簡易書留での郵送や直接当局に行って提出します。
書類や計算に疑問があれば、労働局の助成金事務センター等から問い合わせがありますが、申請から1~2カ月程度で助成金が指定口座に振り込まれます。

「特例」とは?

1973年の石油ショックで雇用調整助成金ができて以来、災害が起きた際には要件が緩和されて申請しやすくなりました。これがいわゆる「特例」で、その災害等が収まった場合には要件が元に戻ります。地震などの災害が起こった地域限定、不況で倒産した企業限定で特例が実行される場合もあります。過去に特例が認められたのは大企業の倒産、三宅島の噴火、リーマンショック、東日本大震災が発生したときなどです。

2020年(令和2年)4月1日から実施されている「コロナ特例」では、雇用保険に入っていない従業員でも対象となり(緊急雇用安定助成金)、クーリング期間や残業相殺もなくなり、休業規模要件は人数制限が緩和されています。

財政状況と政策

2022年現在、雇調金として支払われた金額はこの2年半で5兆5千億円に達しています。リーマンショックが発生した時は1兆円程度だったことから、史上空前の金額を使ったことになります。今後は要件を復活させ、支給率や最高限度額を縮めながら、休業よりも出向や労働移動へのシフト(産業雇用安定助成金など)を目指しています。

雇用調整助成金の申請方法―初めて申請する企業の場合

ここからは具体的に申請する場合何をするか、実務を簡単にご紹介します。
雇調金を初めて利用する場合は、1カ月間の休業が終わってから2カ月経つまでに、以下の書類をそろえて申請しましょう。

  • 雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書(売上が減っているか)
  • 事業所の状況(法的な営業停止ではないか、季節的ではないか)
  • 休業協定書(いつからいつまで、誰が、どれくらいの日時でどれくらいの手当で休業するか)
  • 労働保険料等に関する書類(労働保険を納めているか)
  • 支給要件確認申立書・役員等一覧(反社会的勢力などではないか、不正を行っていないか)
  • 休業・教育訓練実績一覧表(どのくらい休業し、訓練したかの実績)
  • 助成額算定書(実績に基づいて助成金額の計算をする)
  • (休業等)支給申請書(会社の名前や所在地、雇用保険事業所番号などを記入)
  • 労働・休日の実績に関する書類(タイムカードや出勤簿、どのくらい休んだか)
  • 休業手当・賃金の実績に関する書類(賃金台帳、休業でどのくらい給料を払ったか)

<ポイント1>「雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書」が重要

この書類の中で特に重要なのは、「雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書」です。売上が減ったことを示す直接的な証拠として、売上が書いてある社内の書類を準備する必要があります。できれば「月次決算報告書」のような月次の売上がわかるものが良いでしょう。

<ポイント2>生産指標要件はどの月と比較する?

生産指標要件は「特例」だと緩和されており、支給申請月の前月(7月分申請なら6月の売上)の売上が、過去分と比べて5%以上減っていることが必要です。比較する対象月は以下のようにいくつかあります。

  • 1~3年前の同月(7月申請の場合は2019年~2021年いずれかの6月の売上)
  • 1年前までの適当な月(7月申請の場合は2021年7月~2022年6月のいずれかの月の売り上げ)

この中であれば、どの月の売り上げを使用しても構いません。
その数字を「事業活動の状況に関する申出書」に書くことが受給要件の最大のポイントです。

雇用調整助成金の申請方法―今までに申請したことがある企業の場合

続いて今までに雇調金を申請したことがある企業の場合です。
1カ月間の休業が終わってから2カ月経つまでに以下5つの書類をそろえて申請しましょう。

  • 支給申請書(会社の名前や所在地、雇用保険事業所番号などを記入)
  • 休業・教育訓練実績一覧表(どのくらい休業し、訓練したかの実績)
  • 支給要件確認申立書・役員等一覧(反社会的勢力などではないか、不正を行っていないか?)
  • 労働・休日の実績に関する書類(タイムカードや出勤簿、どのくらい休んだか)
  • 休業手当・賃金の実績に関する書類(賃金台帳、休業でどのくらい給料を払ったか)

<ポイント1>「生産指標要件」はもう1度チェックするべき?

2022年9月申請(11月末が申請期限)までは、チェックしなくて構いません。ただし業況特例(売上が30%以上下がった場合、支給率と最高限度額が増える)を使う場合は、その証拠書類(雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書)を出さねばなりません。

<ポイント2>会社の規模により「休業規模要件」のチェックが必要

従業員100人くらいの会社の場合は、休業規模要件に気をつけましょう。休業している従業員が1/40を越えないと申請ができないためです。100人の中小企業の会社ですと1ヶ月で原則3人以上の休業が必要です。

<ポイント3>休業協定書の期限をチェック

今までに出している休業協定書が失効していないか、期限を確認しましょう。期限が超過していると追加して出し直す必要があります。

雇調金の業況特例、地域特例を使う企業

業況特例(売上が30%以上下がった場合)、地域特例(緊急事態宣言などが発令されている地域の飲食店など)を使うと、大企業の場合、支給率が2/3から4/5や10/10(解雇していない場合)になります。こちらを申請する場合は、前述の5つの書類のほか、毎月売上低下していることを示す証拠書類が必要になります。
売上低下の証拠書類は、できれば給与計算をしている社会保険労務士(社労士)や税理士など、確かな数字を把握している外部の方に作成していただくのがいいでしょう。助成金額を増やす証拠だけに、当局は一番厳しく見ます。
助成金受給後5年以内に当局が調査などに入った場合、総勘定元帳や決算書と照らし合わせて矛盾があるようですと、「不正ではないか?」と追及されますのでご注意を。

雇調金の今後

特例として緩和されている要件がひとつずつ復活する以外に、助成金を多く使っている業界と少ない業界によって、支給率や最高限度額に差をつける、あるいは添付書類(源泉徴収票等、特に税務関係)の追加提出などが行われる可能があります。コロナ禍が沈静化すれば要件がひとつずつ復活して、半年くらいで特例がなくなるということになるでしょう。

グレースーツにネクタイの社会保険労務士で労務管理事務所新労社代表、深石圭介さん

深石圭介(ふかいし・けいすけ)
社会保険労務士 労務管理事務所新労社代表
1992年新潟大学法学部卒業。以後、会計事務所に入所。さまざまな業種の企業へのサービスで主として労務分野のコンサルティングを経験。
2004年に開業。得意分野は雇用関連助成金の申請、それに引き続く中小企業のための実践的な労務管理制度運用の提案。現在は賃金アップを含めた「新しい資本主義」助成金に注目し、さまざまなコンサルティング・ツールを用いて実践中。著書として「雇用関係助成金 申請・手続マニュアル」(日本法令)がある。

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