出向に選ばれる人とは?選ばれる背景や従業員と企業のメリットを紹介

出向に選ばれる人とは?選ばれる背景や従業員と企業のメリットを紹介

出向を打診されている従業員の方や出向の活用を検討している企業の方に向けて、出向に選ばれる従業員の背景と、出向のメリットを紹介。出向で確認すべき事柄も解説します。

目次[非表示]

  1. 1.出向に選ばれる人とは?選ばれる背景や従業員と企業のメリットを紹介
  2. 2.出向は「在籍型出向」と「転籍出向(移籍)」に分けられる
    1. 2.1.在籍型出向
    2. 2.2.転籍出向(移籍)
  3. 3.企業が在籍型出向を行う目的
    1. 3.1.人材育成
    2. 3.2.出向先の事業支援
    3. 3.3.雇用調整
    4. 3.4.企業間での人材交流
    5. 3.5.事業移管(売却等)に伴う業務引き継ぎ
  4. 4.在籍型出向に選ばれる人の特徴
    1. 4.1.若手従業員(20代)が選ばれる主な理由
    2. 4.2.中堅従業員(30~40代)が選ばれる主な理由
    3. 4.3.ベテラン従業員(50代~)が選ばれる主な理由
  5. 5.企業が在籍型出向を活用する理由
    1. 5.1.子会社から親会社への出向
    2. 5.2.親会社から子会社(グループ会社)への出向
    3. 5.3.海外出向
  6. 6.看護師の地域医療への出向もある
    1. 6.1.看護師の出向が増加している背景
    2. 6.2.医療現場における出向の課題点
    3. 6.3.看護師が地域医療へ出向するメリット
      1. 6.3.1.・出向元(病院)のメリット
      2. 6.3.2.・出向先(訪問看護ステーション)のメリット
  7. 7.従業員の選定の注意点
    1. 7.1.従業員を出向させる際に確認すべきこと
  8. 8.出向者を受け入れる企業のメリット
    1. 8.1.優秀な人材で人手不足を補える
    2. 8.2.採用コストが削減できる
    3. 8.3.自社の従業員が成長する
  9. 9.出向に選ばれる従業員のメリット
    1. 9.1.キャリア・実績が作れてスキルアップできる
    2. 9.2.人脈が作れる
  10. 10.出向を活用する際に確認すべき給与に関すること
    1. 10.1.出向時の給与の会計処理の違い
      1. 10.1.1.・給与負担金
      2. 10.1.2.・寄附金
    2. 10.2.給与水準の違い
    3. 10.3.シチュエーションによる給与の扱いの違い
      1. 10.3.1.・雇用調整の場合
      2. 10.3.2.・出向先へ技術を提供する場合
      3. 10.3.3.・出向先での研修を目的とする場合
      4. 10.3.4.・人材交流が目的の場合
  11. 11.出向は、キャリアアップの選択肢となる!

出向に選ばれる人とは?選ばれる背景や従業員と企業のメリットを紹介

かつては「左遷」などネガティブなイメージを持たれることもあった「出向」ですが、近年は新しい働き方のひとつとして認知されるようになってきました。人々の意識の変化に伴い、出向に選ばれる人の特徴も変わってきています。

今回は、出向が予定されている人や出向を検討している企業の方に向けて、出向に選ばれる従業員の背景と出向のメリットをご紹介します。また、出向にあたって確認すべきことなどについても見ていきましょう。

出向は「在籍型出向」と「転籍出向(移籍)」に分けられる

まずは、出向の種類と、それぞれの概要について確認しておきましょう。出向は、「在籍型出向」と「転籍出向(移籍)」に分けられます。

在籍型出向

「出向元」となる現在の雇用先に籍を置いたまま、「出向先」である別企業で勤務するのが在籍型出向です。一般的に出向という場合、通常はこの在籍型出向を指します。

在籍型出向の最大の特徴は、出向中も出向元との雇用関係が維持され、出向元から明確に出向期限が示されることです。在籍型出向で期間を満了した出向者は、出向元に戻ることが約束されています。

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転籍出向(移籍)

転籍出向(移籍)は、今働いている企業(出向元企業)との労働契約関係を解消した上で、新しい企業(出向先企業)と雇用関係を結び直す出向の仕方です。出向後の給与や勤務形態については出向先との雇用契約や就業規則に従います。実際の働き方を見ると転職に近いといえるでしょう。

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企業が在籍型出向を行う目的

出向は、以前から経営戦略、人事戦略の一環として利用されてきました。そのため、出向(転籍・移籍)というと「親会社の都合により、子会社、あるいは関連会社などへ異動して定年まで働く」といったイメージが先に立つ方が多いようです。

しかし近年、出向制度を人材育成などに活用する企業が目立つようになりました。コロナ禍以降は、雇用調整の目的としてだけではなく、人材活用の手段として活用するケースも目立ち、企業にも従業員にもメリットがある働き方の選択肢として浸透しつつあります。ここでは、企業が出向を行う6つの目的について見ていきましょう。

人材育成

少子高齢化や働き手の価値観の多様化に伴って、採用市場では売り手市場が続いています。大手企業や有名企業でも採用が困難になる中、既存従業員のレベルアップによって人材不足をカバーしようとする動きが目立つようになりました。

出向によって、従業員が自社にない技術やスキルを習得したり、自社では経験できないポジションや役割を経験したりすると、人材のレベルアップが期待できます。

出向先の事業支援

自社の人材を育成するだけでなく、出向先の事業支援を目的として出向が行われる場合もあります。グループ会社での新規事業立ち上げに向けて、本社で事業立ち上げを経験した人材を出向させるケースや、取引先の事業強化を図るために経験値の高い人材を送り込むケースなどが該当します。

中でも多いのが、経験や知見が豊富な従業員がスタートアップの子会社に出向するパターンです。こうした人材援助は、企業同士が強く結びつくきっかけとなり、強固な業務提携につながる可能も高いでしょう。

雇用調整

「グループ会社に優秀なエンジニアが足りない」「グループ会社が若手ばかりで、管理ポストを担える人材がいない」など、雇用の片寄りや不足を調整する目的でも出向は行われます。

また、コロナ禍では従業員の雇用を守りながら、一時的な業績悪化を乗り切るための雇用調整として出向を選択する企業が増えました。出向を活用すると、経営状態が悪化した状態でも従業員を解雇せずに済み、経営状況が回復した際に戻ってきてもらうことができます。

企業間での人材交流

規模の大きい企業では、グループ間、あるいは本社と子会社の連携をより強固にするために出向を活用することがあります。出向によって従業員同士が業務を通して関わりを持つことで、全社会議の意見交換のみでは実現しづらい深い関係づくりが実現できるでしょう。

事業移管(売却等)に伴う業務引き継ぎ

複数の事業やサービスを展開している大規模な企業では、特定分野のサービスを1つの企業にまとめたり、事業そのものをグループ会社に移管したりして事業の最適化を図ることがあります。

こうした場合、該当するサービスや事業に関わっていた人も出向によって異動させ、事業が最適化するまで業務の引き継ぎをさせることがあります。

在籍型出向に選ばれる人の特徴

これまでご紹介したとおり、企業によって出向を活用する目的はさまざまです。そのため、出向に選ばれる人の特徴や年齢も目的に応じて変わります。若手のポテンシャル層が多く選ばれるケースもあれば、中堅以上で経験豊富な従業員に出向の白羽の矢が立つこともあるでしょう。

そこでここでは、年代別に出向に選ばれる人の特徴をご紹介します。

若手従業員(20代)が選ばれる主な理由

若手従業員が選ばれる理由としては、なんといっても対象者のスキルアップ、レベルアップが挙げられます。出向先でしか経験できないことを通して成長してもらい、期間終了後は自社に経験やスキルを還元してもらうことを目指すことが多いようです。

出向期間中は、出向元に対する直接的な貢献が見込めないにもかかわらず、将来のために経験値を貯めてほしいと考えて送り出されるため、ポテンシャルの高い優秀な従業員や、チャレンジ精神があってキャリアアップに意欲的な従業員が対象になることが多いでしょう。

中堅従業員(30~40代)が選ばれる主な理由

自社である程度経験を積んだ中堅社員が出向に選ばれる理由の多くは、出向先の事業への貢献、および自社にイノベ―ションを起こすための創造力や発想力の獲得であることが多いようです。

出向元である企業は、既存事業の運営ノウハウが豊富である反面、新規事業の創出につながる創造力や発想力が不足することもあります。そこで、自社の現状をよく知る中堅従業員をスタートアップ企業やベンチャー企業に出向させることにより、さらなる成長を実現する考え方や新規事業開拓につながるアイディアを持ち帰ってもらうことが期待できます。

また、出向先となるスタートアップ企業にとっても、大企業ならではの事業運営ノウハウを学べ、出向元との協業の可能性を高めることができるでしょう。

ベテラン従業員(50代~)が選ばれる主な理由

超高齢社会に進む日本において、労働人口の多くを占めるミドル・シニア層である50代以降の従業員が長期的に活躍できる環境の構築は不可欠といえるでしょう。

そこで活用されるのが出向です。リスキルの観点だけでなく、ベテラン従業員の出向は、出向先の経営や事業支援、連携強化による新企業創出など、専門的な知識や技術が求められるシーンが多いです。

ベテラン従業員は、豊富な経験を有していることに期待が寄せられ、特定分野への知見が豊富な人や、マネジメント能力のある人が選ばれる傾向があります。

企業が在籍型出向を活用する理由

続いては、企業が出向を行う目的や、出向に選ばれる人の年代別背景を押さえた上で、企業が出向を活用する理由について見ていきましょう。企業は、さまざまな理由で出向を活用しています。

子会社から親会社への出向

出向は親会社から子会社へのパターンが非常に多いため、子会社から親会社への出向は「逆出向」と呼ばれます。逆出向を活用するときは、親会社のノウハウや業務の進め方を学ぶことによる人材育成、および親会社との連携強化が主な理由といえるでしょう。

親会社から子会社(グループ会社)への出向

親会社から子会社への出向は、ごく一般的な出向のパターンです。親会社の経営悪化に伴う雇用維持や、親会社から実績ある従業員を送り込むことによる子会社の成長を期待することが多いようです。

海外出向

海外企業への出向は、将来的な事業のグローバル化や海外拠点の展開を見据えた人材育成を目指して行われることが多いです。自社の海外拠点への出向の場合は、本社とのコミュニケーション強化、円滑化が主な理由になるでしょう。

看護師の地域医療への出向もある

ここまで、一般的な企業における出向について解説をしてきましたが、昨今では医療現場でも出向を活用するシーンが増えています。

大学病院や総合病院、専門病院などから、地域医療の現場へと看護師を出向させるケースが増加している背景などについて解説します。

看護師の出向が増加している背景

医療現場で看護師の出向が増加している背景には、進展し続ける社会の少子高齢化と、地域医療構想による病床の機能分化・連携によって、在宅医療のニーズが増加していることが挙げられます。最期まで住み慣れた地域で自分らしく過ごすために必要な「地域包括ケアシステム」を確立する上で、在宅生活を支える人材の育成・確保は喫緊の課題だといえるでしょう。

2021年の東京都保健医療計画にも、医療サービスの効率化・重点化を目指す観点から、高度急性期医療に対応する資源の確保や在宅医療の充実など、医療提供体制の変革を目指すことが盛り込まれました。

【参照】東京都「東京都 保健医療計画 中間見直し」|東京都(2021年7月)
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/iryo_hoken/hoken_keikaku.files/zenbun0307.pdf

医療現場における出向の課題点

医療現場においても出向へのニーズが高まっているものの、そこには課題もあります。訪問介護や介護施設で働く看護師の平均賃金が病院で働く看護師の平均賃金より低い傾向があることなどから、現時点で介護領域に従事する看護職員は圧倒的に不足しています。

そこで、日本看護協会では、2018年から「訪問看護出向事業」を検討してきました。訪問看護出向事業とは、病院で働く看護師が、所属する病院に籍を置いたまま地域の訪問看護ステーションに一定期間出向する出向契約の仕組みです。病院が出向元、訪問看護ステーションが出向先となって出向契約を結び、看護師を出向させるのです。

訪問看護出向事業のスキーム(公益社団法人日本看護協会 「訪問看護出向事業ガイドライン」P3より加工)図:訪問看護出向事業のスキーム

【出典】公益社団法人日本看護協会「訪問看護出向事業ガイドライン」P3より加工|公表/改訂年:2018年
https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/guideline/homonkango_shukko.pdf

看護師が地域医療へ出向するメリット

看護師の地域医療への出向には、出向元、出向先それぞれにメリットがあります。具体的にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

・出向元(病院)のメリット

高度急性期医療を担う病院と、かかりつけ医としてプライマリーケアを担うクリニック、慢性期疾患を抱えて自宅で過ごす人に医療や介護を提供する在宅医療機関の役割分担が進む中、急性期の治療を終えた病院はできるだけ早く慢性期病院、もしくはかかりつけ医に患者を戻し、新たな患者を迎え入れる体制を作らなくてはなりません。
あらゆる患者をサポートする上で、大いに貢献するのが出向です。出向制度で在宅医療の実状を知る看護師が増えていけば、病院の入退院支援の充実、ひいては地域医療の充実につながるでしょう。
また、出向する看護師にとっても、在宅医療を通じて地域医療や介護の現場を知り、看取りについて考えることには大きな意味があります。病院で担当する二次救急、三次救急が、患者にとってはプライマリーケアから一続きとなっている医療の一部であることをあらためて実感できるからです。
患者のより良い人生と、納得のいく最期のために何をなすべきかを考えられる看護師が増えれば、病院の医療の質も向上するはずです。

・出向先(訪問看護ステーション)のメリット

人手不足にあえぐ訪問看護ステーション側にとって、病院の第一線で働く優秀な看護師を戦力として確保できることは大きなメリットです。病院看護師ならではの知識や技術を学ぶことで、訪問看護の安心感をより高めることもできるでしょう。
また、出向看護師を通じて病院との連携が深まり、人材紹介の流れがよりスムーズになることも期待できます。

従業員の選定の注意点

出向を取り入れることで、社会にはさまざまな可能性が生まれていきますが、在籍出向をしてもらう従業員の選定には注意が必要です。特に、従業員の同意のない在籍出向辞令は反発を招き、期待する効果が得られないばかりか離職にもつながりかねません。

在籍出向する従業員を選定する際には、下記の2点を必ず確認した上で、出向の意義と期待する役割を丁寧に説明し、従業員の同意を得るようにしてください。

従業員を出向させる際に確認すべきこと

  • 従業員の方のスキル、能力、キャリアの志向が、出向先の仕事内容とマッチしているか
  • 当該従業員を出向させることで、「出向元」の企業、「出向先」の企業、当事者の三者に利益があるか

出向者を受け入れる企業のメリット

出向は、出向者を受け入れる側の企業にもメリットがあります。ここでは、出向者を受け入れる企業にもたらされる、3つのメリットについて見ていきましょう。

優秀な人材で人手不足を補える

出向に選ばれるのは原則として、優秀な人材です。特に、経営が悪化する中で在籍出向を選択するのは、企業が出向対象者を「経営が苦しくても手放したくない人材」だと考えているからといえます。

出向を受け入れる出向先は、採用が難しいとされる即戦力人材で、自社の人手不足を補うことができます。

採用コストが削減できる

出向者と同等の力を持った人材を採用するには、多大な採用コストがかかります。その点、在籍出向では、求人サイトへの掲載や説明会などを実施する必要がありません。ミスマッチによる早期退職も生じにくく、採用活動にかかるコストを大幅に削減できるでしょう。

自社の従業員が成長する

出向によって経験や知見が豊富で、新しい視点を持った人材が加わると、自社の従業員は良い刺激を受けて成長します。出向者の「社外の目」がヒントになって、新規事業の立ち上げや業務プロセスの改善が行われるなど、職場の活性化にもつながるでしょう。

出向に選ばれる従業員のメリット

続いては、出向に選ばれる従業員のメリットについて見ていきましょう。メリットは大きく、2つに分けられます。

キャリア・実績が作れてスキルアップできる

長い期間、ひとつの会社にとどまっていると、どうしても作業がマンネリ化し、新しいアイディアが生まれにくくなります。しかし、在籍出向を経験すれば、転職せずに新しい経験を積み、さらにはそこで蓄積した経験を自社に持ち帰り、事業に貢献することができます。

自身のキャリアアップ・スキルアップの面で、出向は有効といえるでしょう。

人脈が作れる

出向先の業務で関わった人は、自社に帰任後も新たなビジネスを始めるときの大切な人脈になります。出向先で良い人間関係を築いておくと、必要なときにアドバイスを仰いだり、会社同士で提携を検討するときの重要な窓口になったりすることができます。

強固な人脈が広がれば、それはその人にとって出世をする上での重要なカギとなるでしょう。

出向を活用する際に確認すべき給与に関すること

出向が決まった際、企業、従業員共に確認しておかなければならいのが給与面です。ここでは、出向を活用する際に確認すべき、給与に関することをご紹介します。

出向時の給与の会計処理の違い

出向先が出向者の給与を支払う場合、税法上は出向先の損金となり、「給与負担金」として会計処理します。反対に出向元企業が給与を負担する場合は、出向元から出向先への「寄附金」として処理されます。

・給与負担金

出向先が、出向者の給与に相当する金額を出向元に支出した場合、出向先は給与負担金の額を損金として処理できます。「原価」「費用」「損失」のいずれかに該当する場合、会社から出ていく費用として利益から差し引き、法人所得を減らすことによって法人税額を節税することもできるでしょう。
また、出向者が出向先企業の役員になる場合、支払われる給与は「役員報酬」になります。役員報酬は、取締役や監査役などに対して支払われるもので、株主総会や取締役会などで決議された金額を損金に算入させることができます。なお、役員報酬は毎月同額とする定期同額給与など、一定の方法で支払われたものでなければ損金に算入できないため注意が必要です。

【参照】国税庁「出向先法人が支出する給与負担金に係る役員給与の取扱い」|国税庁(2021年9月)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5245.htm

【参照】国税庁「役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)」|国税庁(2021年9月)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5211.htm

・寄附金

寄附金は、会社の支出のうち、見返りが認められない費用のことです。例としては、「国や地方公共団体への寄附金・指定寄附金」「特定公益増進法人などへの特定寄附金」「そのほかの寄附金」が挙げられます。
一般法人における寄附金にかかる損金算入限度額は、「(期末資本金の額×0.25%+所得金額×2.5%)×1/4」の範囲内と決められており、超過すると寄附金を損金に算入できません。多額の法人税が追徴課税になる場合があるので、注意が必要です。

【参照】内閣府NPO「寄附に伴う税制上の優遇措置」|内閣府
https://www.npo-homepage.go.jp/kifu/kifu-yuuguu/houjin-kifu

給与水準の違い

出向元と出向先で給与水準が異なる場合、出向先の水準に合わせるのが一般的です。しかし、親会社から子会社に出向して大幅に給与が下がる場合などは、この限りではありません。出向元と出向先の話し合いによっては、出向元での給与水準が維持されることにもなるでしょう。

また、自社の給与の同水準の金額までを出向先が負担し、足りない分は出向元が給与を補填するケースもあります。

シチュエーションによる給与の扱いの違い

給与支払いにおいて、出向元・出向先のどちらが負担するかに明確な決まりはなく、出向契約によって個別に決定します。原則としては、「どこに労働を提供したか」を判断基準として、労働力の提供を受ける出向先が出向者の給与を負担することが多いでしょう。

ただし、前述したように、出向元・出向先で給与水準が異なる場合や出向の理由によっては、下記のように給与の扱いが異なります。

・雇用調整の場合

出向元の経営不振に伴う出向の場合、出向元が人件費を負担できないケースも多いです。そのため、基本的には出向先が給与を負担することが多いでしょう。

・出向先へ技術を提供する場合

出向元から出向先へ、ノウハウや技術を提供する場合も、出向先が給与の負担をするケースが多いです。

・出向先での研修を目的とする場合

出向先で、自社にない技術やノウハウについて学ばせてもらう目的での出向においては、出向元が給与を負担するのが一般的です。

・人材交流が目的の場合

企業間の交流による連携強化を目指す出向では、さまざまな給与負担の仕方が考えらえます。親会社が全額負担する、関係する会社同士で折半し合う、企業規模によって負担割合を変えるなど、企業間の話し合いによって決まることが多いでしょう。

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出向は、キャリアアップの選択肢となる!

時代の変化とともに、出向は従業員にとって有効なキャリアパスのひとつとして捉えられるようになりました。出向の活用を検討されている方は、出向に選ばれた従業員が心から納得できるよう、丁寧な説明を重ねていくことをおすすめします。出向には従業員の成長が期待できるなど、多くのメリットがあるため、積極的に検討してみてはいかがでしょうか。

なお、組織の活性化や人材育成のため、出向を検討している経営層の方は、「マイナビ健康経営」のご活用もご一考ください。「マイナビ健康経営」は、雇用調整だけにとどめないマッチング支援も行っており、企業の背景に即した出向の導入をサポートいたします。

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<監修者>
丁海煌(ちょん・へふぁん)/1988年4月3日生まれ。弁護士/弁護士法人オルビス所属/弁護士登録後、一般民事事件、家事事件、刑事事件等の多種多様な訴訟業務に携わる。2020年からは韓国ソウルの大手ローファームにて、日韓企業間のМ&Aや契約書諮問、人事労務に携わり、2022年2月に日本帰国。現在、韓国での知見を活かし、日本企業の韓国進出や韓国企業の日本進出のリーガルサポートや、企業の人事労務問題などを手掛けている。


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