健康経営宣言とは?企業に必要な手順や事例、メリットを詳しく解説
現在、日本は少子高齢化によって労働人口が減少し、人手不足が深刻化しています。現場に必要な従業員数に満たない状態で業務を遂行している組織も決して少なくはないでしょう。
個人のキャパシティを超えた勤務が続けば、従業員も心身のバランスを崩し、休職や退職につながりかねません。
経済産業省が提唱する「健康経営」は、企業が従業員の健康を経営上の最重要課題と捉え、その保持と増進に向けて積極的に取り組む経営手法です。従業員の健康への介入をコストではなく投資と考え、健康経営に取り組む企業も増えています。
この記事では、健康経営を実践する上でのファーストステップである「健康経営宣言」について、その重要性や手順、公開方法などについて詳しく解説します。
目次[非表示]
- 1.健康経営宣言とは、健康経営に取り組むことを社内外に宣言すること
- 2.協会けんぽ各支部の健康宣言事業
- 2.1.健康経営宣言の重要性
- 2.2.従業員の健康意識が高まり、生産性の維持・向上につながる
- 2.3.企業イメージと社会的信用力が向上する
- 2.4.CSR(企業の社会的責任)活動につながる
- 3.健康経営宣言で必要な対応
- 3.1.1.健康経営宣言に向けて、経営層の理解を促す
- 3.2.2.健康経営優良法人認定における必須項目や課題点を押さえる
- 3.3.3.自社の健康課題を可視化し、施策に落とし込む
- 3.4.4.PDCAサイクルを回す
- 4.健康経営宣言の公開方法
- 5.健康経営宣言の事例
- 5.1.マイナビ健康経営の事例
- 5.2.都築電気の事例
- 5.3.花王の事例
- 6.健康経営優良法人認定で得られるメリット
- 7.健康経営優良法人認定の企業規模別のメリット
- 8.「健康経営優良法人2024」認定法人の認定数
- 9.健康経営宣言によって拓ける企業の未来
- 10.健康経営の実践に向け、まずは健康経営宣言を実行しよう
健康経営宣言とは、健康経営に取り組むことを社内外に宣言すること
健康経営宣言とは、従業員とその家族の健康管理を経営上の課題として認識し、組織として疾病予防や健康づくりに取り組むことを経営者が宣言することです。
その際、企業は健康経営に取り組む目的や注力する領域などをわかりやすく明文化し、社内外に向けて公表します。
健康経営を実践する上で重要となるのは、従業員に健康経営の目的や重要性を知ってもらうこと、そして経営陣が真剣に取り組む覚悟と姿勢を示すことです。同時に、自社には健康経営に取り組む意思があることを社外に周知することも大切です。
こうした社内外への働きかけにより、組織に所属する人も自分ごととして健康経営を考えることとなり、社外の関係者からの評価の向上も期待できるでしょう。
健康経営優良法人の認定には健康宣言が必須
健康宣言は、健康経営優良法人の認定を受けるための必須事項でもあります。
健康経営優良法人は、2016年に経済産業省と厚生労働省が創設した「健康経営優良法人認定制度」において、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する制度です。
健康経営の理念や目的に沿って、従業員の心身の充実に向けた取り組みを積極的に推進している法人を可視化することにより、従業員やステークホルダー、金融機関、求職者などからの社会的評価を高めることを目的としています。
同制度は、企業の規模によって「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」に分けられますが、中小規模法人部門で認定を目指す場合は健康宣言を行うことになります。なお、中小規模法人部門に申請する場合は、協会けんぽ(全国健康保険協会)が行っている健康宣言事業に参加する必要があります。
【参照】経済産業省「健康経営」|経済産業省(2024年3月)
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_keiei.html
【参照】経済産業省「健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)認定申請書」|経済産業省(2024年)
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/kenko_iryo/kenko_toshi/pdf/009_s04_00.pdf
「健康宣言事業」とは、全国健康保険協会が企業などの健康宣言の策定を支援する制度
健康宣言事業は、健康保険組合や協会けんぽなどの保険者が実施している制度です。
協会けんぽなどは、事業所などにおける健康づくりを推進し、事業主と連携して健康宣言の策定を支援します。
健康宣言は、これから健康経営に取り組む企業も、すでに取り組んでいる企業も行うことが可能です。
【用語集】
協会けんぽ各支部の健康宣言事業
健康宣言事業は、各保険事業者が行っていますが、その名称は事業者によって異なります。例えば、協会けんぽの東京都支部では「健康企業宣言」、愛知県支部や大阪府支部では「健康宣言」などです。
下記に、協会けんぽ各支部における健康宣言事業の名称を紹介します。
■協会けんぽ各支部の健康宣言事業名
支部名 |
健康宣言事業名 |
北海道支部 |
健康事業所宣言 |
青森県支部 |
健康宣言 |
岩手県支部 |
いわて健康経営宣言 |
宮城県支部 |
職場健康づくり宣言 |
秋田県支部 |
健康経営宣言 |
山形県支部 |
やまがた健康企業宣言 |
福島県支部 |
健康事業所宣言 |
茨城県支部 |
健康づくり推進事業所 |
栃木県支部 |
とちぎ健康経営宣言 |
群馬県支部 |
生き活き健康事業所宣言 |
埼玉県支部 |
健康宣言 |
千葉県支部 |
健康な職場づくり宣言 |
東京都支部 |
健康企業宣言 |
神奈川県支部 |
かながわ健康企業宣言 |
新潟県支部 |
にいがた健康経営宣言 |
富山県支部 |
とやま健康企業宣言 |
石川県支部 |
かがやき健康企業宣言 |
福井県支部 |
健康づくり宣言 |
山梨県支部 |
目指そう!健康事業所 |
長野県支部 |
健康づくりチャレンジ宣言 |
岐阜県支部 |
協会けんぽと健康宣言 |
静岡県支部 |
ふじのくに健康宣言事業所 |
愛知県支部 |
健康宣言 |
三重県支部 |
健康事業所宣言 |
滋賀県支部 |
健康アクション宣言 |
京都府支部 |
京(きょう)から取り組む健康事業所宣言 |
大阪府支部 |
健康宣言 |
兵庫県支部 |
わが社の健康宣言 |
奈良県支部 |
職場まるごと健康チャレンジ |
和歌山県支部 |
わかやま健康づくりチャレンジ運動 |
鳥取県支部 |
社員の健康づくり宣言 |
島根県支部 |
ヘルス・マネジメント認定制度 |
岡山県支部 |
健活企業 |
広島県支部 |
ひろしま企業健康宣言 |
山口県支部 |
やまぐち健康経営企業認定制度 |
香川県支部 |
事業所まるごと健康宣言 |
徳島県支部 |
健康事業所宣言 |
愛媛県支部 |
健康づくり推進宣言~Yell for your healthy life! ~ |
高知県支部 |
健康経営『高知家』プロジェクト |
福岡県支部 |
ふくおか健康づくり団体・事業所宣言 |
佐賀県支部 |
がばい健康企業宣言 |
長崎県支部 |
「健康経営」宣言 |
熊本県支部 |
ヘルスター健康宣言 |
大分県支部 |
一社一健康宣言事業 |
宮崎県支部 |
健康宣言事業所 |
鹿児島県支部 |
かごしま健康企業宣言 |
沖縄県支部 |
うちなー健康宣言 |
【参照】全国健康保険協会「健康宣言」|全国健康保険協会(2024年8月)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/pickup/healthinesscorp/
健康経営宣言の重要性
ここでは、健康経営宣言の重要性について見ていきましょう。企業が健康経営宣言を行うことで、下記に紹介するような好影響が期待できます。
従業員の健康意識が高まり、生産性の維持・向上につながる
従業員が心身ともに万全の状態で働ける環境を作ると、生産性が維持できるだけでなく、業務効率が上がることも期待できます。
健康経営宣言を行う際に提出する「健康宣言書」では、「100%健診受診」「法令の遵守」への取り組みが必須項目です。健康経営宣言を行うには健康診断を定期的に実施する必要があるため、従業員のメンタル不調や疾患の予防と早期発見につながります。
従業員のフィジカルとメンタルを良い状態に保つことができれば、業務へのモチベーションが上がって生産性も向上するでしょう。
特に、自覚しにくく客観的にも把握しにくいメンタルヘルスの問題は、従業員の業務におけるパフォーマンスの低下や長期欠勤に直結します。日本では従業員の6割が職場でストレスを感じているとのデータもあり、欠勤や離職を防ぐ意味でも適切なメンタルヘルスケアはとても重要です。
また、「健康経営宣言」として企業が本気で従業員の健康に介入する意思を示すと、企業の本気度が従業員に伝わり、従業員が主体的に健康管理に取り組むようになることも期待できます。
「不調を感じたら休みましょう」「体調の自己管理に努めましょう」といったメッセージだけでは心身の健康管理の重要性を自分ごと化できなかった従業員も、みずからの心と体の状態に向き合うようになるかもしれません。
【参照】こころの耳「ストレスとは」|厚生労働省
https://kokoro.mhlw.go.jp/nowhow/nh001/
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企業イメージと社会的信用力が向上する
健康経営宣言を行うと企業のイメージが向上し、社会的な信用力アップにつながります。
前述のとおり、健康経営宣言は、社内だけでなく社外に向けても行います。健康経営宣言を行い、自社が組織として従業員の健康増進に取り組んでいく姿勢を対外的に示せば、自社を「従業員の健康を第一に考えるホワイトな企業」と印象付けることも可能です。
人材を資産と捉える人的資本経営を行っていることが周囲に伝われば、将来的により多くの価値を生み出せる企業だと、機関投資家をはじめとした取引先から評価されることが考えられます。さらに、優秀な人材の獲得にもつながりやすくなることから、自ずと経営面にも良い影響を与える可能性が高まるでしょう。
CSR(企業の社会的責任)活動につながる
健康経営宣言を行うことはCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)を果たし、持続可能な社会の実現に貢献することにもつながります。
かつて、多くの企業は目先の収益を上げることを重視した経営に終始する側面がありました。しかし、こうした短期志向の経営の結果、法令違反や不正取引などが明るみに出て自社の価値を毀損し、社会的な信用を失った例は枚挙にいとまがありません。
今や、企業のさまざまな活動には、社会からの厳しい目が注がれています。そのため、顧客や取引先、求職者などからの信頼を勝ち得るべく、企業活動の一環として環境や社会との共存を図るCSR活動に取り組む企業も増えました。
従業員の健康を経営戦略の一環として考える健康経営は、優秀な人材を自社のために消費するのではなく、日本の未来を支える存在として育成し、持続可能な社会の構築に貢献する活動でもあります。CSR活動の一環として健康経営に取り組むことを宣言すれば、自社が社会の一員としてその発展に寄与する企業であることを社内外に周知できます。
健康経営宣言で必要な対応
健康経営宣言は、具体的にどのようにして行うものなのでしょうか。ここでは、健康経営宣言を行う際に必要な対応を時系列で紹介します。
1.健康経営宣言に向けて、経営層の理解を促す
健康経営宣言は、社内外に向けて行う取り組みです。社内の支持を得ると同時に、社外にも自社の活動を広く周知するには、トップのコミットメントが欠かせません。
健康経営を推進する担当者は、健康経営宣言が中長期的な企業価値の向上につながるものであり、CSRの観点からも重要であることを、データと共に経営層に示しましょう。従業員の健康課題の解決が経営課題の解決につながることを数値で示し、経営層の理解を促します。
【参照】経済産業省「健康経営の推進について」|経済産業省(2024年3月)
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/240328kenkoukeieigaiyou.pdf
2.健康経営優良法人認定における必須項目や課題点を押さえる
経営層の理解が得られたら、健康経営に対する思いや方針を明文化した「健康経営宣言」を公表し、従業員の意識改革につなげます。なお、健康経営優良法人(中小規模法人部門)の認定を受けるためには、必須項目と任意項目を押さえる必要があります。宣言を作成する際はそれらの項目も踏まえた上で、自社にある課題点をどのように刷新していくかも健康経営宣言に盛り込んでいきましょう。
-
健康経営優良法人(中小規模法人部門)認定における必須項目・任意項目を押さえる
健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)は必ずしも認定されるわけではありません。健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)では、未入金を除く約8割の法人が必須項目の不適合により不認定となっています。不認定の理由となった必須項目の多くは、「健康宣言の社内外への発信」と「健康経営の具体的な推進計画」の不備でした。
全国健康保険協会に加入している企業が健康経営優良法人認定を目指す場合、「健康宣言の社内外への発信及び経営者自身の健診受診」や「健康経営の具体的な推進計画」といった必須項目を満たす必要があります。
また、ストレスチェックの実施と不調者への対応や、長時間労働への対策、喫煙率低下に向けた取り組みなどが選択制の任意項目として設定されています。 -
中小企業が健康経営宣言をする際の課題点を押さえる
中小企業が健康経営宣言をし、施策を実行する際に直面しやすい課題として、ノウハウの不足があります。何から取り組むべきかわからない場合は、最初に健康経営優良法人2025(中小規模法人部門)認定申請書を読み込むと目指すべき施策内容が見えてきます。
なお、制度を利用して健康経営アドバイザーなどの資格を従業員に取得させることも、社内へのノウハウの蓄積につながるため、おすすめです。地方自治体や中小企業同士で健康に関するキャンペーンを企画した連携事例や、自社と同規模の企業の健康経営における成功事例なども参考になるでしょう。ノウハウや事例などについて詳しくは下記のリンクをご確認ください。
【参照】経済産業省「健康経営優良法人2025(中小規模法人部門)認定申請書」|経済産業省(2024年)
https://kenko-keiei.jp/wp-content/themes/kenko_keiei_cms/files/kk2025sample_chu.pdf
【参照】経済産業省「健康経営の推進について」|経済産業省(2024年3月)
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/240328kenkoukeieigaiyou.pdf
【参照】経済産業省「健康経営優良法人中小規模法人部門」|経済産業省(2024年4月)
https://kenko-keiei.jp/wp-content/uploads/2024/06/kenkokeiei_jirei0612.pdf
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3.自社の健康課題を可視化し、施策に落とし込む
解決すべき健康課題に優先順位をつけるため、健康診断やストレスチェックの結果、社内アンケート、産業医との面談理由などから自社の傾向をつかみます。
多くの従業員に共通する健康課題を押さえたら、課題解決につながる具体的な健康施策に落とし込み、実行していきます。
なお、健康施策を企画する際には、従業員に自分ごととして捉えてもらえるよう、「従業員参加型」のプログラムを積極的に取り入れることが大切です。例えば、従業員が気軽に参加できる体操やウォーキングなどの運動プログラム、メンタルヘルスケアのワークショップなどがおすすめです。
また、健康経営に役立つアプリや健康管理システムなどでウォーキングの距離やプログラムへの参加率などを可視化することも、従業員の参加意識とモチベーションの向上につながります。
従業員の意識と社外からの評価をより高めたい場合は、「健康経営優良法人」や「健康優良企業」などの顕彰制度に挑戦しても良いでしょう。
【参照】経済産業省「健康経営の推進について」|経済産業省(2024年3月)
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/240328kenkoukeieigaiyou.pdf
4.PDCAサイクルを回す
自社で実施してきた施策は客観的に見直し、問題点に対して改善策を講じます。従業員の健康維持・増進は一朝一夕に実現できるものではありません。
健康経営の施策立案にはじまり、具体的施策の実施、中間指標の測定や取締役会への報告、そして新たな施策の検討などを繰り返していきましょう。健康経営を実現するにはPDCAサイクルを回し続けることが大切です。
【参照】経済産業省「健康投資管理会計 実践ハンドブック」|経済産業省(2021年3月)
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkoutoushi_kanrikaikei_handbook_katabiraki.pdf
健康経営宣言の公開方法
健康経営優良法人の認定を目指す場合、健康経営宣言における「全社方針の明文化」と「健康経営宣言の社外公開」が必須の認定要件となっています。なお、健康経営宣言を社外に公開するにあたっては、事前に社内公開を行う必要もあります。
下記に、健康経営宣言を公開する場合の方法を紹介します。
社内公開の方法
健康経営宣言は、まず社内に向けて公開を行います。健康経営宣言を社内に公開する際は、下記の方法を押さえておくことが大切です。
<健康経営宣言の社内公開の方法>
- 企業行動指針、規範、行動憲章などに記載する
- 経営計画、経営方針に含める
- 従業員全員が一堂に会する場で、文書などで周知する
- 自社のウェブサイト等に公開し、公開していることを従業員に知らせる
社外公開の方法
健康経営宣言の社外公開は、社外向けの資料に記載する方法と、ウェブサイトに記載する方法があります。ウェブサイトに記載する場合、記載先が親会社のウェブサイトでは要件を満たしたことになりません。必ず自社のウェブサイトに記載しましょう。
<健康経営宣言の社外公開の方法>
- アニュアルレポートに健康経営宣言を記載する
- 統合報告書に健康経営宣言を掲載する
- CSR報告書で健康経営宣言の内容を紹介する
- 株主総会資料に健康経営宣言の内容や背景を掲載する
- 自社のウェブサイトで健康経営宣言と健康経営の取り組み内容を公開する
健康経営宣言の事例
ここでは、実際に健康経営を行っている企業の健康経営宣言の事例を紹介します。自社で健康経営宣言を策定する際の参考としてご活用ください。
マイナビ健康経営の事例
「一人ひとり」の職業人生や生活の質の向上を目指し、HRから生活情報まで幅広く事業を展開する株式会社マイナビ。自社の従業員も「一人ひとり」に含め、事業目的にリンクする健康宣言を公開しています。
【参照】株式会社マイナビ「HEALTH MANAGEMENT DECLARATION」|株式会社マイナビ
https://www.mynavi.jp/company/health/
都築電気の事例
「人と知と技術で、可能性に満ちた"余白"を、ともに。」をパーパスとし、ICTを通じたお客様の企業価値向上・社会課題解決を行う都築電気。同社の健康経営宣言は、従業員のみならず「従業員の家族の心身の健康」にも言及しています。
【参照】都築電気株式会社「マテリアリティ2:「人」の成長と活性化 健康経営」|都築電気株式会社(2024年7月)
https://www.tsuzuki.co.jp/sustainability/materiality/health/
花王の事例
花王の健康経営は、社内外の健康情報やヘルスケアに関する知見から生まれた商品やヘルスケアソリューションを取り入れている点が特徴です。また、自社の取り組みのうち優れたものについては、地域や生活者に還元していくことも明言しています。
【参照】花王株式会社「花王グループ健康宣言」|花王株式会社
https://www.kao.com/jp/sustainability/walking-the-right-path/wellbeing-safety/health-declaration/
健康経営優良法人認定で得られるメリット
健康経営宣言を行い、健康経営優良法人の認定を受けた場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、健康経営優良法人認定で得られるメリットをご紹介します。
欠勤率の低下と共に、業務効率とロイヤリティが向上する
健康経営優良法人の認定は、従業員の心身の健康に配慮した取り組みを行っていることが認められた場合に受けられるものです。
社内運動プログラムなどの取り組みを通じて、従業員の心身の状態が上向きになれば、欠勤率の低下や業務効率の向上といったメリットは比較的、短期に効果が見られるでしょう。また、健康経営優良法人に認定されれば従業員自身が「自分を大切にする組織に属している」と実感し、自社への忠誠心であるロイヤリティも高まるはずです。
取引先や機関投資家、求職者からの評価が高まる
健康経営優良法人として認定を受けていることは、企業としての強みのひとつです。長期的なメリットとしては、取引先や機関投資家などからの評価が高まることが挙げられます。
また、ワークライフバランスを重視して企業選びをする求職者を確保しやすくなったり、既存社員の定着率が向上したりと、人事面でも恒常的に良い効果があらわれてくるでしょう。
健康経営優良法人認定の企業規模別のメリット
健康経営優良法人認定は、企業規模に応じたメリットもあります。大企業におけるメリットと中小企業におけるメリットをそれぞれ見ていきましょう。
大企業における健康経営優良法人認定のメリット
大企業では、機能別組織によって多部門化・多階層化し、複雑な組織体系によって業務が非効率になることがあります。しかし健康経営に取り組めば、健康プログラムなどで各部門間の交流が生まれたり、各部門がそれぞれ健康経営を実現するための組織改革に参画したりします。その過程は、情報共有が困難な状態であるサイロ化という大企業特有の課題を解消する手助けとなるはずです。健康経営に向かって組織が良い方向に変わっていくきっかけは、最終的に全社的な業務の効率化につながるでしょう。
中小企業における健康経営優良法人認定のメリット
健康経営優良法人認定に至るまでには、近隣の経済団体や医療関係者をはじめとした地域との連携が欠かせません。その過程において「地元の企業」として応援される組織になるというメリットが生まれます。自社のみならず地域のために尽力する姿勢を見せることは、従業員のエンゲージメントを高めることにもつながるでしょう。
「健康経営優良法人2024」認定法人の認定数
ここでは「健康経営優良法人2024」認定法人の認定数を見ていきます。
「健康経営優良法人2024」では、「大規模法人部門」で2,988法人(上位法人には「ホワイト500」の冠を付加)、「中小規模法人部門」で16,733法人(上位法人には「ブライト500」の冠を付加)が認定されています。
2023年度の認定数は「大規模法人部門」2,676法人、「中小規模法人部門」14,012法人であったため、2024年度は両部門とも前年度を大きく上回る結果となりました。
なお、経済産業省と東京証券取引所が、東京証券取引所の上場企業の中から認定する「健康経営銘柄2024」では、27業種53社が認定されています。こちらでは、鉱業の「石油資源開発株式会社」をはじめとした16社が初認定となりました。
【参照】経済産業省「「健康経営優良法人2024」認定法人が決定しました!」|経済産業省(2024年3月)
https://www.meti.go.jp/press/2023/03/20240311004/20240311004.html
健康経営宣言によって拓ける企業の未来
健康経営宣言は、社会の潮流を踏まえた企業の未来づくりにも有用です。
時間や場所、対面か否かにとらわれない働き方が広まる中、従業員の健康を管理することは容易ではありません。自主性に任せすぎると、人によっては働きすぎて心身のバランスを崩す可能性もあります。
そこで、テクノロジーを活用した健康管理ツールなどで従業員の状態を把握できる体制を整えておけば、物理的な距離があっても好ましくない変化を察知でき、早期改善につなげることができます。全社で健康経営に取り組めば、自社への帰属意識やモチベーション維持にもつながるでしょう。
また、健康経営は日本のみならず世界のトレンドであり、グローバル化を進める企業においては必須の取り組みです。
ESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:企業統治)に配慮した経営を行っているか否かによって企業価値を測るESG投資が拡大する中、「Social」に該当する健康経営に注目し、健康経営優良法人の認定の有無をESGの評価基準にする機関投資家もいます。
世界の中で持続的な成長を目指すならば、経営戦略の中心に従業員の健康を置き、組織全体のウェルビーイングを実現していくことが重要となる時代はすでに始まっているのです。
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健康経営の実践に向け、まずは健康経営宣言を実行しよう
健康経営宣言は、健康経営に着手することを社内外に宣言することです。持続的な企業経営に欠かせない健康経営に取り組む意思を強めるためにも、まずは健康経営宣言を行ってみてはいかがでしょうか。
「マイナビ健康経営」は、人と組織の「ウェルネス(健康)」をさまざまなサービスでサポートしています。健康経営宣言に関わる事柄など、健康経営に着手する時点からのきめ細やかなサポートも可能です。また、従業員の心身の健康向上につながる、厚生労働省策定のトータル・ヘルスプロモーション・プランに取り組む際にも、ぜひお気軽にご相談ください。
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