用語集

無形資産

読み:むけいしさん

無形資産とは、企業が有する資産のうち、可視化することが難しいものの、企業活動にとって重要な影響を与える資産を指します。代表的な例としては、研究開発やデザイン、ブランド、ライセンスなどが挙げられますが、従業員のソフトスキルや帰属意識といった人的資本も含まれます。なお、機械設備や工場などの実物的な形がある資産は、有形資産と呼ばれています。
無形資産の中でも、「人的資本」は特に重要な要素と位置付けられており、人的資本や、それを支える組織体制が構築されることで生産性向上や企業価値向上につながると考えられています。

米国を代表的する株価指数「S&P500®」(※)の時価総額に占める無形資産の割合は、1975年時点で17%でしたが、年々増加していき、2020年には無形資産の割合が90%にも上っているという調査結果(※)もあります。
この結果からも、企業価値を高めるためには、無形資産への投資が年々重要性を増していることが分かります。しかし、日本をはじめとしたアジア諸国では、株価指数の時価総額に占める無形資産の割合が比較的低くとどまっていることが指摘されています。

2023年度から、日本の上場企業に対して人的資本に関する情報開示が義務付けられるといった点も踏まえて、多くの日本企業にとって、人的資本をはじめとした無形資産への投資が今後ますます求められていくでしょう。

※S&P500は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの登録商標です

(※)OCEAN TOMO 「INTANGIBLE ASSET MARKET VALUE STUDY」(2020年)を基に経済産業省が作成した資料より

 

<監修者>
丁海煌(ちょん・へふぁん)/1988年4月3日生まれ。弁護士/弁護士法人オルビス所属/弁護士登録後、一般民事事件、家事事件、刑事事件等の多種多様な訴訟業務に携わる。2020年からは韓国ソウルの大手ローファームにて、日韓企業間のM&Aや契約書諮問、人事労務に携わり、2022年2月に日本帰国。現在、韓国での知見を活かし、日本企業の韓国進出や韓国企業の日本進出のリーガルサポートや、企業の人事労務問題などを手掛けている。

 

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