用語集

暑熱順化

読み:しょねつじゅんか

暑熱順化は、高温多湿の環境に体を慣らすためのプロセスです。体が暑さに適応することで、熱中症のリスクを減らすことが期待できます。暑熱順化には通常1~2週間程度が必要とされています。高温環境下での作業やトレーニングを毎日少しずつ行い、体が徐々に暑さに適応していく方法が推奨されています。
具体的には下記のようなポイントを押さえておくとよいでしょう。

  • 初期段階(1~3日目)
    暑熱順化の初日は、特に注意が必要。短時間の作業や運動を行い、体が暑さに慣れるようにする。具体的には、作業や運動の時間を通常の50%程度に抑えることが推奨されている。
     
  • 中期段階(4~6日目)
    段階的に作業や運動の時間と強度を増やしていく。具体的には、毎日10~20%ずつ作業量を増加させるようにする。
     
  • 後期段階(7~14日目)
    作業や運動の時間を通常のレベルに近づけ、体が高温多湿に完全に順化している状態にしておく。

 

暑熱順化が進むと、下記のような生理的な変化が見られます。暑熱順化を行う際には下記の4つについて注意深く確認をしておきます。

 

  • 発汗量の増加
    発汗が早く、かつ多くなることで、体温が効果的に調節されるようになる。
     
  • 発汗成分の変化
    汗の塩分濃度が下がり、体内の電解質バランスが維持されやすくなる。
     
  • 体温の安定
    高温下でも体温の上昇が抑えられ、安定していく。
     
  • 心拍数の低下
    高温下での運動中や作業中の心拍数が軽減され、心臓への負担が減少していく。

 

なお、暑熱順化を進めるためには下記のような注意点を押さえておくことも重要です。

 

  • 水分補給
    作業や運動中にはこまめに水分を摂取する。特に高温下ではスポーツドリンクなどの電解質を含む飲料が有効。
     
  • 休息
    適度な休息を取ることも重要。特に初期段階では、無理をせず休息を取り入れながら進める。
     
  • 体調管理
    暑熱順化中に体調不良を感じた人が出た際は、すぐに中断し、休息を取る。特に高齢者や持病がある人は、慎重に進めることが重要。

 

【参照】

  • 厚生労働省「中小企業の事業主、安全・衛⽣管理担当者・現場作業者向け働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」|厚生労働省(2023年5月)
    https://neccyusho.mhlw.go.jp/

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