反芻(はんすう)思考とは、つらい出来事や自己の問題、過去の失敗などのネガティブな事象について、過度に反復して考え込んでしまう思考パターンを指します。反芻とは、牛などの動物が一度飲み下した食物を口の中に戻し、咀嚼し直して再び飲み込むことを意味していて、ネガティブなことを何度も思い返してしまう行動が反芻と似ていることから、反芻思考と呼ばれるようになりました。
反芻思考は「ぐるぐる思考」や「抑うつ的反芻」とも呼ばれます。反芻思考によって自己否定的な気持ちを強め、結果として不安やストレスを増幅させてしまい、それが長期化すると、うつ病や不安障害などの精神疾患を引き起こすリスクを高めると考えられています。
反芻思考は一見すると、過去の失敗に対して問題解決に取り組んでいるように見えますが、実際には問題の解決への具体的な行動を起こすよりも、ネガティブな思考に没頭して不安を増大させる思考パターンのため、問題解決にはつながりません。後悔や反省に近いようで、気持ちを切り替えて今後のことを考えることはできず、困ってしまうのが特徴です。
反芻思考によるうつ症状などが見られる場合には、精神科を受診して治療を受ける必要があります。その際には、思考パターンの癖を見つけて考え方を変えていく、認知行動療法などが一般的です。
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