心理的安全性とは?メリットや高める方法、注意点などを解説

心理的安全性とは?メリットや高める方法、注意点などを解説

「心理的安全性」という言葉をビジネスシーンで耳にしたことはないでしょうか。心理的安全性は、周囲の反応や評価に臆することなく自分の思いや意見を発信できる状態を指す言葉です。心理的安全性の高い組織では、前例のないアイディアを出して拒絶されたり、トラブルを報告して非難されたりする不安がなく、安心して発信や行動をすることができます。

こうした組織では円滑なコミュニケーションが可能になるため、組織の生産性や透明性も高まるはずです。
本記事では、心理的安全性が低い職場で起こる問題から、心理的安全性を高めるメリットや方法、心理的安全性の向上に取り組む上での注意点まで、詳しく解説します。

目次[非表示]

  1. 1.心理的安全性とは、組織の中で自分の意見や気持ちを安心して発言できる状態のこと
  2. 2.心理的安全性の高いチームと勘違いされるケース
  3. 3.心理的安全性が低い職場で起こりうる問題
    1. 3.1.無知だと捉えられる不安(Ignorant)
    2. 3.2.無能だと捉えられる不安(Incompetent)
    3. 3.3.邪魔をしていると捉えられる不安(Intrusive)
    4. 3.4.ネガティブだと捉えられる不安(Negative)
  4. 4.心理的安全性を高めるメリット
    1. 4.1.心理的安全性が個人に与えるメリット
    2. 4.2.心理的安全性が組織に与えるメリット
  5. 5.組織の心理的安全性を高める方法
    1. 5.1.チームの在り方を定義する
    2. 5.2.リーダー自身が自分を認める
    3. 5.3.サポート体制を充実させる
    4. 5.4.質問や相談しやすい雰囲気にする
    5. 5.5.否定よりも問題解決を目指す
    6. 5.6.1on1ミーティングを行う
    7. 5.7.発言の機会を均等にする
    8. 5.8.チーム強化の仕組みを構築する
  6. 6.心理的安全性を向上させる上での注意点
  7. 7.心理的安全性の高いチームを作り、組織の成長に寄与しよう

心理的安全性とは、組織の中で自分の意見や気持ちを安心して発言できる状態のこと

心理的安全性とは、自分の存在や意見を周囲が認めてくれるという信頼感と安心感をチームメンバーが共有している状態のことです。
心理的安全性は、世界で最も影響力のあるビジネス思想家にも選ばれている組織行動学の研究者であり、ハーバード・ビジネススクールの教授であるエイミー・C・エドモンドソン氏によって提唱されました。

心理的安全性が高い組織において、メンバーは自分の発言によって人間関係が損なわれるのではないか、否定されるのではないかといった恐怖心にとらわれることなく、みずからが良いと信じる発言や行動を貫くことが期待できます。こうした環境を作ることは、個々人が持つ能力を存分に活かし、チーム全体のパフォーマンスを向上させる上で重要であることから、近年のビジネスシーンでも注目されてきました。

心理的安全性という概念がビジネスシーンへと広がった背景には、Googleが「効果的なチーム」を測るために行った調査「プロジェクト・アリストテレス」の影響があるといわれています。同調査でGoogleは、「生産性が高いチームは心理的安全性が高い」との研究結果を発表し、心理的安全性が効果的なチームを作るための重要な要素であることを示しました。
心理的安全性は、人的資本経営に対する関心の高まりとの相乗効果もあり、多くの企業が向上に取り組んでいます。

  心理的安全性とは? | マイナビ健康経営 心理的安全性とは、ハーバード大学で組織行動学を研究するエイミー・エドモンドソン氏が1999年に提唱した心理学用語で、「チーム内での対人関係においてリスクのある行動をとっても安心できる状態」と定義されています。 マイナビ健康経営

【参照】マイナビキャリアリサーチLab「心理的安全性」|株式会社マイナビ
https://career-research.mynavi.jp/glossary/research-page14/


【参照】Google re:Work「効果的なチームとは何かを知る」|グーグル合同会社
https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness#introduction

心理的安全性の高いチームと勘違いされるケース

心理的安全性の高い組織は、ともすると「快適で居心地の良い組織」「何を言っても怒られない」といった意味に捉えられることもあります。何事もみんなで仲良く、争いやトラブルの火種を作らないことを第一優先として「和」を重んじる日本の価値観も、こうした誤解が生じる理由のひとつでしょう。

しかし、本来の心理的安全性は、相手に良く思われるよう振舞い、関係性の維持のために同調することによって生まれるものではありません。
意見の対立もミスの報告も、すべてが組織の改善と生産性向上につながることが共通理解として存在しており、誰もが率直に振る舞うことができる組織こそ、真に心理的安全性が高い状態といえます。

心理的安全性が低い職場で起こりうる問題

前述のエイミー・C・エドモンドソン氏は、心理的安全性が低くなる原因として下記の4つの「不安」を挙げています。それぞれ、不安があることによって起こりうる問題と併せて見ていきましょう。

無知だと捉えられる不安(Ignorant)

「こんなことも知らないのか」と思われる不安があると、わからないことをわからないと言えず、質問や確認をしなくなります。
結果として、理解が不足したまま業務を進めてトラブルになることがあるでしょう。

無能だと捉えられる不安(Incompetent)

「仕事ができない」と思われることへの不安は、ミスの隠蔽を招きます。小さな齟齬が大きなトラブルに発展したり、チーム内の不正を黙認したりする原因にもなります。

邪魔をしていると捉えられる不安(Intrusive)

自分の発言や行動が誰かの邪魔になるのではないかという不安が拭えないと、積極的に意見を言うことが困難になります。自ずと組織を活性化させる革新的なアイディアや、有意義な意見を出しづらくなってしまいます。

ネガティブだと捉えられる不安(Negative)

「意見が批判と受け取られるかも」「反対すると嫌がられるかも」と考える人は、自分の存在を邪魔な者、無駄な者と考えてしまい、発信を避けるようになります。​​​​​​​

【参照】HR Trend Lab「心理的安全性をわかりやすく解説!組織に与える効果や高める方法とは」|株式会社マイナビ(2022年7月)
https://hr-trend-lab.mynavi.jp/column/organizational-development/1944/

心理的安全性を高めるメリット

心理的安全性が高い組織では、さまざまなメリットを得ることができます。ここでは、心理的安全性を高めることで得られるメリットを、個人と組織、それぞれについて見ていきましょう。

心理的安全性が個人に与えるメリット

心理的安全性が高いと、個人が周りの目や言葉を気にすることなく、仕事に全力を注げるようになります。すると、個人のパフォーマンスが上がり、スピーディーに目標を達成することができるようになるでしょう。
また、自分の意見やアイディアが尊重されるにつれて、自己成長や仕事への貢献意欲も高まり、エンゲージメントの向上にもつながっていきます。仕事に対する意欲が高まれば、主体的にレベルの向上に取り組むことも期待できます。

心理的安全性が組織に与えるメリット

心理的安全性が組織に与えるメリットはさまざまです。下記に6つのメリットを紹介します。

  • 情報共有が活発になる
    相手の反応を気にせずに済むため、コミュニケーションが活発になり、円滑に情報交換が行われます。また、ネガティブな情報も発信しやすいため、大きなトラブルに発展する前に問題の芽を摘むことも可能です。
  • 生産性向上が期待できる
    心理的安全性が保たれている環境下では、自分のアイディアや意見を臆せず言うことができます。すると、組織の問題に対する改善案も多く集まるようになり、生産性の向上が期待できます。

  • イノベーションの創出が期待できる
    自分の行動が誰かに迷惑をかけるという不安から抜け出した人は、現状を最適化するための取り組みを主体的に進めるようになります。従来の枠にとらわれない、斬新なアイディアが生まれるきっかけとなるため、イノベーションが起こりやすくなるでしょう。新たなアイディアを続々と実現していくチームになれば、競争の激しい市場でも成果を生み出すことが期待できます。

  • 優秀な人材の定着に期待できる
    心理的安全性が高い組織では「自分の能力が活かせる」「認めてもらえる」と感じるメンバーが多くなり、エンゲージメントが高まります。優秀な人材の定着につながっていくでしょう。

  • 問題の早期発見につながる
    心理的安全性が高まると、トラブルやミスを伝える行為のハードルが下がり、問題を個人で抱え込まなくなります。また、躊躇せず不正や違反の報告もすることができるため、コンプライアンスリスクの抑制にもつながります。

  • DEI(多様性、公平性、包括性)の促進
    心理的安全性の高いチームになると、それぞれが異なるバックグラウンドや考え方を持つメンバーであっても活躍しやすくなり、多様性や公平性、そして多様性を受け入れる包括性が促進されます。Diversity(ダイバーシティー)、Equity(エクイティー)、Inclusion(インクルージョン)の頭文字を取ったDEI(多様性、公平性、包括性)が重要視されている昨今、組織の競争力を高める上でも心理的安全性の確保は一層求められていくでしょう。

【参照】HUMAN CAPITALサポネット「心理的安全性とは?職場の心理的安全性を高める5つのステップ」|株式会社マイナビ(2023年11月)
https://saponet.mynavi.jp/column/detail/ty_keiei_t06_psychological-safety_231107.html

【参照】CANVAS「【心理的安全性とは】注目の理由や心理的安全性を考慮した組織作りを解説」|株式会社マイナビ(2022年9月)
https://mynavi-agent.jp/dainishinsotsu/canvas/2022/09/post-790.html

組織の心理的安全性を高める方法

組織の心理的安全性を高めるにはどうしたらよいのでしょうか。心理的安全性が高い状態を作り、維持するための方法を紹介します。

チームの在り方を定義する

まずは自分たちのチームはどのような目的のために存在しているのか、チームの在り方を定義することが重要です。そして、誰にとって重要なチームであり、誰のために貢献しようとしているのかを定義していきます。
チームの在り方を定義したら、続いてゴールとなる成果も明確にします。これは、会社全体のミッションやビジョン、KGIを策定する際と同じプロセスともいえるでしょう。

リーダー自身が自分を認める

リーダーがリーダーらしくあろうとするあまり、自分の失敗をごまかしたり、悩みを抱え込んだりしていると、チームにも「隠す」意識が浸透します。リーダー自身が自分の失敗を公に認め、弱みや悩みをさらけ出して、メンバーに「失敗してもいい」「誰でも悩んでいるし、悩んでいることを隠さなくてよい」と行動で伝えていきましょう。
また、リーダーはチームメンバーの得意な分野やスキルを見極め、各人にとって適切な役割分担を行い、各メンバーの役割と責任を明確に定義します。

サポート体制を充実させる

新しいメンバーがチームに加わるときは、チーム全員で積極的に声をかけ、実務的にも、精神的にも早くチームに溶け込めるようサポートしましょう。「みんながあなたを大切に思っている」ということが伝われば、心理的安全性の向上が期待できます。

質問や相談しやすい雰囲気にする

リーダーが話しやすい雰囲気を作ることも重要です。いつでもにこやかに、相手に寄り添う姿勢を見せていれば、重大なミスにつながる前に不明点や疑問点をぶつけてくれるようになるでしょう。

「いつでも声をかけていいよ」と伝えていても、常に忙しそうで相手の目を見て話をしない、挨拶に横柄な返事しかしない、部下の成績や精神状態をあまり気にしていないといったリーダーには、声をかけにくいものです。忙しいときでも部下を気にかけ、相手に配慮した言葉がけを続けると互いの信頼関係が築かれ、部下も困り事や悩み事を早期に伝えてくれるようになります。
メンバー同士がオープンにコミュニケーションをとり、フィードバックをし合える環境づくりを目指していきましょう。

否定よりも問題解決を目指す

リーダーが「でもね」「だけど」といった否定の言葉を続けると、相手を萎縮させ、率直な意見の発信の妨げになります。部下から問題提起があったら、最初から否定せず問題の解決に全力を注ぎましょう。
問題に寄り添い、共に考えることで、リーダーと部下とのあいだに信頼感が醸成されます。

1on1ミーティングを行う

人事考課の面談とは別に、業務上の困り事や人間関係の悩み、キャリアプランなどをざっくばらんに話せる1on1ミーティングの場を設けましょう。
周囲にほかの人がいない状況で腹を割って話すと、リーダーとメンバーとの距離も縮まります。

発言の機会を均等にする

心理的安全性が高まった組織でも、よく見ると発言力のある人、押しの強い人ばかりが発言していることがあります。控え目な人や立場の弱い新人も平等に発言できるよう、発言機会を均等に与える工夫をしましょう。

チーム強化の仕組みを構築する

チームの強化と改善が継続的となるよう、チーム強化の仕組みを構築することも重要です。
チーム全体のフィードバック文化は定期的に行い、改善点などがあれば下記のような取り組みを行うことも効果的でしょう。

<チーム強化の仕組み例>

  • ミーティングやワークショップを定期的に行い、チームの進捗や課題を共有することで、解決策を議論する
  • メンバーのスキル向上の意欲に応えるために、トレーニングや教育プログラムの仕組みを構築する

【参照】HR Trend Lab「心理的安全性をわかりやすく解説!組織に与える効果や高める方法とは」|株式会社マイナビ(2022年7月)
https://hr-trend-lab.mynavi.jp/column/organizational-development/1944/

心理的安全性を向上させる上での注意点

心理的安全性が高い組織では、ミスやトラブルの報告に抵抗がなくなり、問題の早期発見・早期解決につながりやすくなることは前述したとおりです。
しかし、こうした開かれた雰囲気が、「失敗しても大丈夫」「トラブルがあっても報告すればよい」といった弛緩した空気を生み、仕事に対する責任感が薄れるという意見があることにも注意が必要です。

心理的安全性が高いと弛緩した空気が生まれるという意見に対し、エイミー・C・エドモンドソン氏は、明確に「心理的安全性と責任感に相関関係はない」としています。双方をバランスよく強化していくことで、一人ひとりが責任感を持って仕事に取り組み、互いに信頼し合う強い組織を作ることができるでしょう。

心理的安全性の高いチームを作り、組織の成長に寄与しよう

心理的安全性が高いチームは、不安の多い組織に比べて高い成果を出せる可能性があります。今回、ご紹介した方法を参考に、ぜひとも心理的安全性の向上に取り組んでみてはいかがでしょうか。

従業員がすこやかな心身を維持することも、心理的安全性の高い組織づくりの重要な要素です。「マイナビ健康経営」は、人と組織の「ウェルネス(健康)」をさまざまなサービスでサポートしています。従業員の心身の健康維持をお考えの際には、お気軽に悩みをお聞かせください。
また、健康経営推進の検討をしている方や、心理的安全性の向上に向けて研修などを検討している方は、健康経営における講師の紹介・斡旋サービスをご提供している「Bring.」をご利用ください。

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