企業はインフルエンザにどう対応すべき?出勤可否や手当について解説
国内で毎年約1,000万人が感染するといわれるインフルエンザ。非常に感染力が強く、集団の一人が感染すると、短期間で一気に感染が拡大します。
一般的な風邪に比べて激しい全身症状が現れ、幼い子供や免疫力が低下している人、高齢者などは重症化することも珍しくありません。
企業でインフルエンザの感染が拡大した場合、事業活動に大きな影響を及ぼします。特に人手不足が深刻な企業においては、事業継続が困難になる場合もあるでしょう。
本記事では、企業が行うべきインフルエンザに関する対応や、休業手当を支給する際の基準、予防接種など、人事や総務の担当者に役立つ情報を解説します。
※本記事内で扱う「インフルエンザ」は、特に記載がない場合、季節性インフルエンザを指します。
目次[非表示]
- 1.従業員がインフルエンザに感染したら、出勤させてもいい?
- 2.従業員がインフルエンザに感染したときの休暇の扱い
- 3.企業がインフルエンザによる出勤停止を命じた場合、休業手当が必要な場合がある
- 4.インフルエンザによる欠勤で支給される傷病手当金
- 5.インフルエンザによる休業手当が必要かどうかの基準
- 6.インフルエンザ感染者が出たときに企業がとるべき対応
- 6.1.休養を勧奨する
- 6.2.出勤禁止命令を出す
- 6.3.治癒証明書の提出は不要
- 7.インフルエンザ感染が疑わしいときに企業がとるべき対応
- 7.1.病院への受診と結果報告を命じる
- 7.2.休養を勧奨する
- 7.3.出勤禁止命令を検討する
- 8.新型インフルエンザに対して企業がとるべき対策
- 9.インフルエンザ予防接種に対する企業方針の示し方
- 10.企業が実行できるインフルエンザ予防接種の施策
- 10.1.予防接種を受けやすい雰囲気づくりをする
- 10.2.従業員に対する健康教育を行う
- 10.3.予防接種費用を負担する
- 10.4.事業所内で接種を実施する
- 11.インフルエンザ予防接種を福利厚生で経費計上するための条件
- 11.1.業務上必要な予防接種であること
- 11.2.すべての従業員が対象であること
- 11.3.派遣社員や出向社員は契約元の企業が経費処理を行う
- 12.インフルエンザ対策は、健康経営の一環として欠かせない取り組み
従業員がインフルエンザに感染したら、出勤させてもいい?
従業員がインフルエンザに感染したときの対応として企業がまず知っておきたいのは、出勤の可否に法的な決まりがないことです。
学校に在籍する生徒や教職員の場合、感染拡大による教育活動への影響などを鑑み、予防すべき感染症の種類、出席停止、臨時休業などについて、学校保健安全法で定められています。
インフルエンザは学校保健安全法における第2種感染症に該当し、発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで登校できません。
しかし、企業においてはそうした規制がないため、多くの企業では学校保健安全法に準じた就業規則を定めています。規則の内容は企業によって異なり、必ずしも「発症後5日、解熱後2日」とは限りません。インフルエンザに感染した場合の会社への申告方法、解熱後に出社する際に必要な書類などと併せて、就業規則を定めておく必要があります。
そもそも企業には、労働契約法第5条にもとづく、従業員への安全配慮義務があります。安全配慮義務とは、労働者が健康と安全を確保して働けるよう、企業が必要な配慮をする義務のことです。
インフルエンザに感染した従業員が出社し、持病がある従業員や高齢の従業員に感染した場合、重症化するリスクがあります。インフルエンザに罹患した従業員を無理に出社させる行為は、罹患していない従業員が安全に働く権利を奪うことにもなりかねません。
従業員のエンゲージメントの低下や離職率の向上にもつながるため、職場でインフルエンザの感染者が出た場合の対応や方針を確立することが重要です。
【参照】子ども家庭庁「学校における感染症対策」|子ども家庭庁
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/1fa64474-22c1-4eae-8945-c9ad7e515db8/84bda1f3/20230401_councils_hoiku-kansen-gl_050426_04.pdf
従業員がインフルエンザに感染したときの休暇の扱い
インフルエンザ感染時の休暇の扱いについては、企業の就業規則によって異なります。ここでは、従業員がインフルエンザに感染したときの休暇の扱い方について、詳しく見ていきましょう。
有給休暇の申請があった場合
インフルエンザに感染した従業員から有給休暇の申請があった場合は、有給休暇として処理しましょう。有給休暇は、労働基準法第39条にもとづき労働者に与えられる権利であり、企業は正当な理由なく申請を拒むことはできません。ただし、有給休暇が残っていない場合や、本人から申請がない場合は、欠勤扱いにします。
なお、有給休暇は本人申請が前提であるため、インフルエンザに感染した従業員に有給取得を強要したり、企業の判断で有給扱いにしたりすることは労働基準法違反となる可能性があります。
企業は平時から「インフルエンザに罹患した際、希望があれば有給休暇を取得できる」ということを周知しておき、従業員が申請・取得しやすい雰囲気を作っておくことが大切です。
【参照】労働基準法「(年次有給休暇)第三十九条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-Ch_4-At_39
病気休暇・インフルエンザ休暇などの制度がある場合
従業員がインフルエンザに感染した際、企業が就業規則に「病気休暇」「インフルエンザ休暇」といった制度を設けている場合は、そのルールに従って処理します。
制度の利用にあたって、診断書が必要になるかどうかなども、事前に決めておきましょう。
企業がインフルエンザによる出勤停止を命じた場合、休業手当が必要な場合がある
インフルエンザを出勤停止とすることを就業規則で定め、従業員に出勤停止を命じた場合は、休業手当の支給が必要となる場合があります。休業手当とは、会社側の都合により、従業員を休ませた場合に支払わなければならない手当のことです。労働基準法の第26条では、以下のように定められています。
<労働基準法 第26条>
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。
【出典】労働基準法「(休業手当)第二十六条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
インフルエンザは、出勤の可否について法的な規定がないため、出勤停止を命じることは「使用者の責に帰すべき事由」、つまり会社都合となる場合があります。ただし、医師が労務不能である旨の診断書を出している場合等は、従業員はそもそも客観的に労務の提供が不可能な状態にあるといえるので、この限りではありません。従業員の罹患状況によりますが、労働基準法にあるとおり、平均賃金の6割以上の休業手当を支払う必要が生じるケースもあるといえます。
インフルエンザによる欠勤で支給される傷病手当金
従業員がインフルエンザに罹患して休む場合、有給休暇が残っていない、あるいは本人から申請がなければ欠勤(病欠)として処理します。その際、従業員がインフルエンザによって4日以上連続で欠勤すると、休業手当ではなく、傷病手当金の対象になる可能性があります。
傷病手当金は、病気休業中の被保険者とその家族の生活を保障するための制度で、療養のために休暇を取り始めた日から連続した3日間(待機期間)を除き、4日目以降が支給対象です。
【出典】全国健康保険協会「傷病手当金について」|全国健康保健協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat620/r307/
インフルエンザによる休業手当が必要かどうかの基準
従業員がインフルエンザに罹患して休む場合、休業手当の支払いが必要となる場合とそうでない場合があります。インフルエンザの種類や症状の有無などによって休業手当の扱いが異なるため、それぞれのケースについて確認しておきましょう。
従業員が季節性インフルエンザに罹患した場合
従業員が季節性インフルエンザに罹患した場合は、自主的な休業でない限り、休業手当の支払いが必要となるケースが多いといえます。
前述したとおり、季節性インフルエンザの出勤可否に関しては、法的な根拠がありません。企業が就業規則に準じて出勤停止を指示した場合、企業側の都合で従業員を休ませることになるため、休業手当の支給が必要です。
ただし、医師が労務不能である旨の診断書を出している場合などは、従業員は客観的に労務の提供が不可能な状態にあるといえるため、会社は無給扱いでの出勤停止命令を出せます。
従業員が新型インフルエンザに罹患した場合
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律では、新型インフルエンザに罹患した場合、就業制限の措置をとることができるとされています。この場合、法的な根拠にもとづくため、休業手当を支払う必要はありません。
なお、従業員が新型インフルエンザに罹患し、医師などの指導によって休業したとしても、休業手当は不要となります。医師などの指導による場合、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないためです。
ただし、新型インフルエンザかどうかわからない段階で、発熱などの症状があることを理由に企業の判断で休業させる場合は「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当し、休業手当の支払いが必要です。
【参照】感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律「(就業制限)第十八条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/410AC0000000114/#Mp-Ch_4-At_18
従業員の家族がインフルエンザに罹患した場合
家族が季節性または新型インフルエンザに罹患した場合、従業員自身に症状がなければ就業はできると考えます。そのため、企業の判断で休業させる場合は休業手当を支払わなければなりません。
しかし、家族がインフルエンザに罹患した場合、従業員自身も感染している可能性があります。社内における感染拡大を防ぐためにも、そうした場合の報告ルールなどを、あらかじめ定めておきましょう。
【参照】厚生労働省「新型インフルエンザ(A_H1N1)に関する事業者・職場のQ&A」|厚生労働省(2009年10月30日)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/21.html
インフルエンザ感染者が出たときに企業がとるべき対応
従業員が医師の診察を受けて、インフルエンザに罹患したことがわかった場合、企業にはどのような対応が求められるのでしょうか。ここからは、インフルエンザの感染者が出たときに、企業がとるべき対応について紹介します。
休養を勧奨する
従業員がインフルエンザに罹患したことがわかったら、職場に感染が拡大するのを防ぐため、まずは自主的に休暇を取るよう勧奨します。このとき、企業からのアクションはあくまでも「勧奨」にとどめ、「命令」しないことが重要です。
また、従業員が勧奨に従って自主的に有給休暇を取得した場合は有給扱いとなり、欠勤(病欠)した場合は賃金が発生しません。
出勤禁止命令を出す
インフルエンザに感染しても、出社を希望する従業員もいるでしょう。勧奨に応じず出社しようとした場合には、就業規則に従って、ほかの従業員への安全配慮などを理由に出勤禁止を命じることができます。
この場合、休業手当の支払いが必要かどうかは、前述のとおり、従業員が医師による診断書などによって客観的に就業可能な状態にあるかどうかによります。就業可能であるにもかかわらず、出勤停止命令を出すのであれば、休業手当の支払いが必要な場合に該当するといえます。
治癒証明書の提出は不要
インフルエンザで休暇を取っていた従業員が職場に復帰する際、治癒証明書などの提出は法律で規定されておらず、原則として不要です。
就業規則で定めていれば提出を求めることは可能ですが、インフルエンザは発症後5日、かつ解熱後2日を目安に外出の自粛を終了して良いと判断されることが多いため、あえて医療機関や従業員に証明書発行の負担をかける必要はないでしょう。
【参照】厚生労働省「インフルエンザQ&A」|厚生労働省(2021年)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html
インフルエンザ感染が疑わしいときに企業がとるべき対応
インフルエンザに感染したことは確定していないものの、従業員が高熱や頭痛、全身の倦怠感などの症状を訴えている場合は、どのように対応すべきでしょうか。
ここからは、従業員のインフルエンザ感染が疑わしいときに、企業がとるべき対応について見ていきます。
病院への受診と結果報告を命じる
従業員がインフルエンザに感染した疑いがある場合、企業がとるべき対応のひとつとして、病院への受診と結果報告を命じることが挙げられます。
ただし、その場合は就業規則に、企業が必要だと判断した場合の医師への受診および結果報告の義務を定めておくことが必要です。就業規則に定めがない場合は、あくまで医師への受診を勧奨することにとどめます。
休養を勧奨する
インフルエンザに感染した疑いのある従業員がいる場合、ほかの従業員への感染リスクも考えられます。したがって、まずは感染した疑いのある従業員に対しては、出社をせずに休養するよう勧奨します。従業員が自主的に休養する場合は、有給休暇を取得するケースが多いでしょう。
出勤禁止命令を検討する
インフルエンザに感染した疑いがあっても、出社することを望む従業員がいるかもしれません。そのような場合、就業規則に定めていれば、出勤禁止を言い渡すことができます。
ただし、企業都合での出勤禁止となるため、休業手当の支払いは発生します。
新型インフルエンザに対して企業がとるべき対策
インフルエンザは、季節性インフルエンザと新型インフルエンザに分けられます。このうち、A型とB型のインフルエンザウイルスによって引き起こされ、毎年流行するのが季節性インフルエンザです。
一方、新型インフルエンザとは、季節性インフルエンザと抗原性が大きく異なるインフルエンザです。これまで国民が免疫を獲得していないことから、爆発的に流行してパンデミックを起こすおそれがあり、持病がある人に感染すると重症化リスクがさらに高まる可能性もあるといわれています。
医療機関がパンクしたり、従業員に罹患者が続出して事業がストップしたりするといった深刻な影響が出ることも考慮して、企業は平時のうちから措置を考えておくことが大切です。
新型インフルエンザのピーク時には、従業員の最大40%が欠勤する可能性もあるといわれています。それを踏まえて、下記のような事業継続計画を考えておくといいでしょう。
<新型インフルエンザの感染拡大を踏まえた対策>
- 継続業務や縮小業務などについて定め、人員計画を立案する
- 意思決定方法を確立する
- 国内外の感染症の発生状況、対応状況について平時から情報収集する
- 感染対策を徹底し、新型インフルエンザ発生時の行動について従業員への普及啓発に努める
- 38度以上の発熱、咳、全身倦怠感等の症状があれば出社しないなどのルールを定める
【参照】厚生労働省「令和5年度インフルエンザ Q&A」|厚生労働省(2023年)
https://www.mhlw.go.jp/content/001158487.pdf
【参照】新型インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議「新型インフルエンザ等対策ガイドライン」|内閣感染症危機管理統括庁(2022年6月30日)
https://www.caicm.go.jp/jp/seisaku/ful/keikaku/pdf/r040630gl_guideline.pdf
インフルエンザ予防接種に対する企業方針の示し方
職場でのインフルエンザの感染拡大を防ぐ方法として、手洗いやうがい、マスクの着用といった基本的な感染防止策の励行に加え、予防接種の実施があります。特に、高齢の従業員や幼い子供を持つ従業員が多い場合、感染拡大による事業へのリスクも踏まえて、接種の勧奨が望ましいでしょう。
ただし、予防接種に法的拘束力はなく、従業員の意思に反して強制できません。接種には本人の同意が必要です。
また、中には「予防接種を受けたくても、アレルギーがあって受けられない」「既往症の影響で接種できない」といった従業員がいるケースも考えられます。インフルエンザ予防接種を打たない人の権利を侵害しないよう、方針を打ち出すことが大切です。
企業が実行できるインフルエンザ予防接種の施策
企業が福利厚生としてインフルエンザ予防接種を実施する場合、費用や実施場所などに関してさまざまな取り組みが考えられます。ここからは、企業が実施できるインフルエンザ予防接種の施策について紹介します。
予防接種を受けやすい雰囲気づくりをする
企業がインフルエンザ予防接種を行う際は、予防接種を受けやすい雰囲気づくりも大切です。就業中に仕事以外の理由で職場を離れることを良しとしない社風の場合、従業員が予防接種を受けることに消極的になる可能性もあります。
上司が率先して予防接種を受けに行ったり、日程を全社掲示板で周知したりするなどの工夫をして、従業員が予防接種を気軽に受けられる環境づくりに努めましょう。
従業員に対する健康教育を行う
従業員に対する健康教育の実施も、企業がインフルエンザ予防接種を行う上で重要です。インフルエンザとはどのような病気で、感染が拡大して罹患者が増えるとどのような社会的リスクがあるか、またどうすれば防げるかといったことを従業員に伝える研修や講座を開き、予防意識を高めます。
そうすることで、予防接種の必要性に対する従業員の理解促進につながるでしょう。
予防接種費用を負担する
企業が実行できるインフルエンザ予防接種の施策として、費用の負担が挙げられます。インフルエンザ予防接種は原則として任意であり、治療ではないため健康保険は適用されません。そのため、通常は受ける人が全額自己負担します。
しかし、住んでいる自治体や健康保険組合からの助成が受けられる場合もあります。それらの助成金制度を使ってもカバーできない費用の一部、または全額を企業が助成するケースも少なくないでしょう。
なお、ワクチン接種に対する費用負担が一定の条件を満たした場合は、福利厚生費として経費計上することができます。
事業所内で接種を実施する
企業がインフルエンザ予防接種を実施する際、事業所内に接種会場を設ける取り組みも考えられます。法人向けの訪問予防接種、巡回型予防接種を行っている医療機関に申し込むことで、事業所内での集団接種を実施できます。
事業所内での接種は、休憩や就業後、休日などを使って医療機関へ足を運ぶ必要がなくなり、多忙な従業員にメリットのある施策です。ワクチンの種類、接種する従業員の数、時期などを産業医や近隣の医療機関に相談し、準備を整えましょう。
インフルエンザ予防接種を福利厚生で経費計上するための条件
前述したように、企業がインフルエンザの予防接種費用の全額または一部を助成した場合や、事業所内接種を行った場合、かかった費用は福利厚生で経費計上できます。
ここからは、予防接種の実施にかかった費用を経費計上するための条件について見ていきましょう。
業務上必要な予防接種であること
インフルエンザの予防接種費用を経費計上するには、予防接種が業務を遂行するために欠かせないものであることが条件となります。
例えば、海外への事業展開を見据えた従業員の渡航に必要な予防接種は、これに該当します。ほかにも、医療関係の営業で病院を得意先とする従業員に対して、企業がインフルエンザ予防接種を提供した場合も同じです。
このように、企業が業務において必要だと判断した場合は、経費として計上することができます。
すべての従業員が対象であること
企業がインフルエンザの予防接種費用を福利厚生で経費計上するための条件として、全従業員が対象であることも挙げられます。そもそも福利厚生は、公平性や平等性を保つことが必要なため、役職や性別を問わず、すべての従業員が利用できなければなりません。
ただし、風邪などで予防接種が受けられなかったり、本人の意思で接種しなかったりした人がいる場合であっても、企業側が接種の機会を平等に与えていれば、経費計上が可能です。
派遣社員や出向社員は契約元の企業が経費処理を行う
派遣社員や出向社員は、派遣元や出向元と労働契約を結んでいるため、就業先の福利厚生の対象とはなりません。したがって、インフルエンザ予防接種にかかる費用は、それぞれ従業員の契約元が経費処理するのが一般的です。
福利厚生としてインフルエンザ予防接種を実施する場合は、社員の雇用形態や契約形態を事前に正しく把握しておきましょう。
インフルエンザ対策は、健康経営の一環として欠かせない取り組み
感染力が強いインフルエンザが職場で蔓延すると、事業活動に大きな支障をきたします。企業には、従業員を守り経営を維持するため、健康経営の一環としてインフルエンザ対策に取り組むことが求められます。
従業員がインフルエンザに感染したときの明確な方針を立てておくことはもちろん、予防接種の勧奨や費用助成、予防接種を受けやすい環境づくりなど、平時から従業員の健康増進を意識した健康経営が大切です。季節性インフルエンザに対する対策はもちろん、新型インフルエンザの流行も想定して、確実な対策を行いましょう。
「マイナビ健康経営」は、人と組織の「ウェルネス(健康)」をさまざまなサービスでサポートしています。企業が実施すべきインフルエンザ対策についても、お気軽にご相談ください。
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